• 最終更新日: 2025.07.30
  • 公開日:2025.07.30

【2025年最新・完全版】EDIツールの選び方と導入メリットを徹底解説

【2025年最新・完全版】EDIツールの選び方と導入メリットを徹底解説
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「EDIツールで業務効率を抜本的に改善したいが、どの製品が最適か判断できない」
「“2024年問題”で従来のEDIが使えなくなったと聞いた。2025年現在、どう対応すべきか知りたい」

同様の課題をお持ちの企業担当者様は少なくありません。企業間の取引データを電子化し、業務を劇的に効率化するEDI(電子データ交換)ツールは、今やあらゆる企業にとって不可欠な経営基盤です。

特に、ISDN回線を利用した旧来のEDIは、NTT東西の「INSネット ディジタル通信モード」が2024年1月にサービスを終了しました。この変化に対応しなければ、最悪の場合、取引先との受発注が停止してしまうリスクさえあります。

この記事では、EDIツールの導入を検討している担当者様が、確信を持って最適な一歩を踏み出せるよう、以下の情報を体系的に解説します。

  • EDI移行の背景:「2024年問題」の影響と現状
  • EDIツールの具体的なメリットと機能
  • 失敗しないEDIツールの選び方(5つのステップ)
  • 義務化された電子帳簿保存法への対応

最後までお読みいただくことで、EDIツールに関する疑問や不安が解消され、スムーズに導入を進めるための具体的な知見が得られます。


なぜ今、EDIが重要なのか?「2024年問題」後の世界

2025年現在、EDIツールの導入・移行が急がれる最大の背景は、「INSネット ディジタル通信モード」のサービス終了、通称「2024年問題」です。

これは、NTT東西が提供してきたISDN回線上のデータ通信サービスが、設備の老朽化を理由に2024年1月をもって計画通り終了したことを指します。かつて多くの企業が、この通信網を利用した「レガシーEDI」で受発注や請求データの交換を行っていました。

このサービス終了に伴い、従来のレガシーEDIを使い続けることは事実上不可能となり、インターネット回線を利用した「インターネットEDI」への移行が不可欠となりました。この移行は、単なる通信手段の変更に留まらず、セキュリティの強化や業務プロセスの見直しを行う絶好の機会でもあります。


EDIツールとは何か?基本の仕組みを理解する

EDI(Electronic Data Interchange)ツールとは、企業間で交わされる注文書や請求書といった取引情報を、標準化された形式(フォーマット)で電子的に交換するためのシステムやソフトウェアの総称です。

その基本的な役割は、「取引業務の自動化」「データの標準化」にあります。異なる企業・システム間で使われる多様な帳票フォーマットを、EDIツールが共通形式に自動で変換し、決められた通信手順(プロトコル)で送受信します。これにより、手作業によるデータ入力や転記作業そのものが不要となり、ヒューマンエラーの防止と業務スピードの向上を同時に実現するのです。

EDIツールが持つ主要機能

現代のEDIツールには、単なるデータ交換以外にも業務を支える多様な機能が実装されています。

  • データ変換機能:取引先ごとに異なるデータ形式(CSV, XML, 固定長など)を、自社の基幹システムに合った形式へ自動で相互変換します。
  • 通信機能:JX手順、全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)、SFTP、AS2など、業界標準の多様な通信プロトコルに対応します。
  • ワークフロー連携:受注データ受信後、社内の承認ワークフローへ自動連携するなど、既存の業務プロセスに組み込めます。
  • スケジューラ機能:「毎日18時に受注データを自動送信する」といった定型業務の自動実行を設定できます。
  • セキュリティ機能:データの暗号化、アクセス制御、操作ログの完全記録など、企業の機密情報を保護する堅牢なセキュリティを備えています。

EDIツール導入がもたらす3つの経営メリット

EDIツールが持つ機能は、企業経営に具体的にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。ここでは主要な3つのメリットを解説します。

メリット1:圧倒的な業務効率化とコスト削減

FAXやメールで届いた注文書を基幹システムへ手入力する作業は、時間と手間がかかる上に、入力ミスというヒューマンエラーの温床でした。EDIはこれらのデータ交換を完全に自動化するため、担当者は分析や改善といった、より付加価値の高いコア業務に集中できます。結果として、人件費、紙代、印刷代、通信費、郵送費といった直接的なコストも大幅に削減可能です。

メリット2:業務スピード向上と事業拡大への対応力

データ交換がリアルタイムで行われるため、受注から出荷、請求までのリードタイムが劇的に短縮され、顧客満足度の向上やキャッシュフローの改善にも貢献します。さらに、システムが自動で処理を行うため、取引件数が急増しても、人員を増やすことなくスムーズに対応可能です。これは、事業規模の拡大を目指す企業にとって強力な基盤となります。

メリット3:ガバナンス強化と法改正への対応

「いつ、誰が、どの取引先と、どのようなデータを交換したか」という取引記録が全てシステム上に正確に記録・保存されるため、内部統制(コーポレート・ガバナンス)の強化に繋がります。また、多くのEDIツールは2024年1月より完全義務化された電子帳簿保存法の要件に対応しており、法律に準拠した形で電子取引データを安全に保存・管理することが可能です。


【5STEPで解説】失敗しないEDIツールの選び方

これほど多くのメリットを確実に享受するためには、自社に最適なツールを正しく選ぶプロセスが不可欠です。以下の5つのステップに沿って進めることを推奨します。

STEP1:導入目的と解決したい課題の明確化

まず、「なぜEDIを導入するのか」という目的を具体的に定義します。「レガシーEDIからの移行」「特定の取引先からの要請」「全社的なペーパーレス化とDX推進」など、目的を明確にすることで、ツールに求める機能の優先順位が定まります。

STEP2:必須要件の定義(データ形式・通信手順)

次に、主要な取引先が指定するデータフォーマットや通信プロトコルを確認します。これらに対応していることが、ツール選定の前提条件となります。特に確認すべき主要な仕様は以下の通りです。

  • 国内の主要な通信プロトコル:全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)、JX手順、ebXML MS、SFTP、AS2など
  • 主要なデータフォーマット:固定長、可変長(CSVなど)、XML、CII標準(業界標準フォーマット)など

STEP3:提供形態(クラウド型 vs. パッケージ型)の選定

EDIツールには、主にクラウド型とパッケージ(オンプレミス)型の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、自社の運用体制やIT戦略、予算に合った方を選択します。

  • クラウド型(SaaS):サーバー管理が不要で初期費用を抑えやすい月額費用制です。迅速な導入が可能で、法改正などにも自動で対応します。
  • パッケージ型(オンプレミス):自社サーバーにインストールする形態です。自社のセキュリティポリシーに合わせた柔軟なカスタマイズが可能ですが、初期費用や保守管理コストは高くなる傾向があります。

STEP4:電子帳簿保存法への対応確認

電子取引データの電子保存は、2024年1月1日以降、すべての事業者において義務化されています。選定するEDIツールが、電子帳簿保存法の「真実性の確保(タイムスタンプ付与機能や訂正削除の履歴保存など)」と「可視性の確保(日付・金額・取引先での検索機能など)」の要件を満たしているか、必ず確認してください。

STEP5:導入実績とサポート体制の確認

最後に、ツールの導入実績とサポート体制をチェックします。特に自社と同じ業界・業種での導入実績が豊富であれば、業界特有の商習慣にも精通している可能性が高く、安心して導入を進められます。また、導入後の技術的な問い合わせやトラブルに迅速に対応してくれる、手厚いサポート体制が提供されているかは、極めて重要な選定ポイントです。


EDI導入における課題と解決策

EDIの導入はメリットが大きい一方で、いくつかの課題も存在します。事前に把握し、対策を講じることが成功の鍵です。

  • 課題1:導入・運用コスト:クラウド型を選んで初期費用を抑える、スモールスタートで効果を検証しながら適用範囲を拡大する、などのアプローチが有効です。
  • 課題2:既存システムとの連携:多くのEDIツールはAPIによる連携機能を備えています。ITベンダーやツールの提供事業者と連携し、最適な連携方法を設計しましょう。
  • 課題3:取引先の協力体制:一部の取引先にEDIへの対応を依頼する必要が生じます。導入による双方のメリットや移行スケジュールを丁寧に説明し、協力を得ることが不可欠です。

EDIツールに関するよくある質問(FAQ)

Q1. EDIツールの費用相場はどれくらいですか?
A1. 費用は提供形態や機能、取引量によって大きく変動します。クラウド型の場合、初期費用が数万円〜数十万円、月額利用料が数万円からというのが一般的です。パッケージ型の場合、ライセンス費用として数十万円〜数百万円以上かかることがあり、加えて年間の保守費用が発生します。複数の事業者から見積もりを取得し、総所有コスト(TCO)で比較することが重要です。
Q2. 無料で利用できるEDIツールはありますか?
A2. 一部のツールには無料プランや長期のトライアル期間が設けられている場合があります。しかし、無料の場合は取引先数やデータ量に厳しい制限があったり、サポートが受けられなかったりすることが大半です。事業として継続的に利用するには、機能・セキュリティ・サポート体制が保証された有料ツールの導入が原則となります。

まとめ:最適なEDIツールを選び、ビジネスを次のステージへ

今回は、EDIツールの選び方から導入メリットまで、網羅的に解説しました。

2025年現在、EDIツールの導入は、単なる業務効率化の手段ではありません。「2024年問題」後の事業継続性を確保する守りの側面と、ペーパーレス化、コスト削減、DX推進といった攻めの側面を併せ持つ、不可欠な経営戦略です。

この記事で解説した5つの選定ステップに沿って自社の課題と要件を整理し、比較表を参考にしながら、ぜひ貴社に最適なEDIツールをご選定ください。

適切なツールは、煩雑な手作業から企業を解放し、生産性を飛躍的に向上させます。ぜひ具体的な検討と行動を起こし、ビジネスの成功への第一歩を踏み出しましょう。

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