• 最終更新日: 2025.09.26
  • 公開日:2021.01.15

B2B EC導入で業務の効率化を成功させる方法:メリットからシステム選び、事例まで徹底解説

B2B EC導入で業務の効率化を成功させる方法:メリットからシステム選び、事例まで徹底解説
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あなたの会社では、こんな課題に心当たりはありませんか?

  • 「電話やFAXでの注文対応に、営業や事務の担当者が追われている」
  • 「手作業でのデータ入力が多く、品番や数量の間違いが時々起きてしまう」
  • 「担当者が不在のときは、受注業務が滞ってしまうことがある」

これらは多くの企業が抱える根深い課題ですが、「BtoB EC」の導入によって解決できる典型的な例です。

この記事では、「B2B EC」について、導入メリットからシステムの選び方、注意点までを網羅的に解説します。旧来の業務フローから脱却し、事業を次のステージへ進めるための具体的なヒントがここにあります。

なぜ今、B2B(企業間取引)でEC化が急速に進むのか?


働き方改革やリモートワークの定着は、契約書や請求書の電子化を促す一方、「受発注業務」の非効率性を浮き彫りにしました。紙の発注書を処理するために誰かが出社しなければならない、取引先担当者と連絡がつきにくいといった問題は、多くの企業にとって無視できないボトルネックとなっています。

こうした背景から、企業間取引(B2B)の領域で、Webサイト上で商取引を完結させる「B2B EC(企業間電子商取引)」の導入が急速に進んでいるのです。

電話・FAX・メール…アナログな受発注業務が抱える限界

B2B ECの効果を理解するために、従来の受発注業務が抱える具体的な課題を見ていきましょう。ある部品メーカーA社と、その部品を仕入れる機械メーカーB社の取引を例に考えます。

【従来の受発注フローとその課題】

  1. 発注 (電話/FAX/メール) → B社の担当者が発注。しかし、聞き間違いや誤送信、担当者不在によるタイムラグが発生しがちです。
  2. 受注内容の確認・入力 → A社の担当者が受けた注文を、手作業で社内システムに入力。ここで品番や数量の入力ミスが起こるリスクがあります。
  3. 在庫確認・出荷指示 → 在庫システムが別の場合、確認に手間がかかります。同時に注文が重なり、在庫切れを起こすこともありました。

このアナログなフローは、発注側・受注側双方にとって大きな負担であり、ミスや機会損失の温床となっていました。

業務効率化だけじゃない!B2B ECがもたらす経営メリット

B2B ECは、これらの課題を根本から解決します。
顧客であるB社は、まるでネット通販で買い物をするように、A社専用のECサイトから24時間365日いつでも発注できます。注文データは自動でA社のシステムに連携されるため、入力や確認作業はもう必要ありません。

この仕組みがもたらすのは、単なる効率化に留まらない、経営全体への好影響です。

【B2B EC導入による5つの主要メリット】

  1. 生産性の最大化:データ入力や電話対応といった定型業務を自動化し、従業員はより付加価値の高い業務に集中できます。
  2. ヒューマンエラーの撲滅:顧客自身が画面で品番や数量を確認して発注するため、受注側の入力ミスが構造的になくなります。
  3. 販売機会の拡大:24時間注文を受け付けることで機会損失を防ぎ、新たな顧客獲得の窓口としても機能します。
  4. 顧客満足度とLTVの向上:発注履歴からの再注文機能やリアルタイム在庫確認など、顧客の利便性を高めることで、継続的な取引、すなわちLTV(顧客生涯価値)の向上に繋がります。
  5. データドリブン経営の実現:顧客ごとの購買データが自動で蓄積・分析され、精度の高いマーケティングや商品開発に活かせます。

さらに、ログインした企業ごとに異なる価格を自動で表示させるなど、B2B特有の複雑な取引条件にも柔軟に対応できます。

【データで見る】拡大を続けるB2B EC市場

実際に、どれほどの企業がB2B取引をEC化しているのでしょうか。
経済産業省が2025年8月に発表した最新調査によると、2024年のB2B EC市場規模は514兆4,069億円(前年比3.1%増)に達し、全商取引に占めるEC化率は43.1%となりました。

これは、個人向けEC(B2C)のEC化率を遥かに上回る数値です。このことからも、企業間取引がいかにECと親和性が高く、もはやスタンダードになりつつあるかが分かります。

経済産業省「令和 6 年度 電子商取引に関する市場調査」より

自社に最適なB2B ECシステムの種類と選び方のポイント

B2B ECを始めるためのシステムは、大きく分けて4種類あります。それぞれの特徴を理解し、自社に合ったものを選びましょう。

システムの種類 費用の目安(初期/月額) 特徴 こんな企業におすすめ
ASP型 低(数万~)/ 低 クラウド上の共有システムを利用。最も安価で迅速に導入できるが、機能は固定的でカスタマイズ性は低い。 コストを最優先で始めたい企業、機能追加の予定がない企業
SaaS型 低~中(数十万~)/ 低~中 クラウド上で提供される高機能なシステム。API連携が豊富で拡張性が高い。デザイン等のカスタマイズもある程度可能。 スピードと拡張性を両立したい企業、外部システムと連携したい企業
パッケージ型 中(数百万円~)/ 中 ソフトウェアを自社サーバーに構築。カスタマイズの自由度が高く、独自機能を実装しやすい。 独自の業務フローに合わせたい中~大企業、セキュリティ要件が厳しい企業
フルスクラッチ 高(数千万円~)/ 高 ゼロから完全に独自のシステムを開発。最も自由度が高いが、高コストで開発期間も長い。 業界のプラットフォームを構築したい大企業、全く新しいサービスを始めたい企業

選び方の3つのポイント

  1. 目的と事業規模に合っているか?:将来の拡張性も見据えつつ、現在の事業規模や目的に合ったシステムを選ぶことが成功の鍵です。
  2. 既存システムと連携できるか?:在庫管理や会計ソフトなど、社内の既存システムとスムーズにデータ連携できるかは、業務効率を最大化する上で最も重要な点です。
  3. サポート体制は万全か?:導入後の運用支援やトラブル対応など、信頼できるパートナーとなるベンダーを選びましょう。

SaaS型がおすすめの理由

自社にあった機能追加や独自機能の開発などカスタマイズ性に優れていながらも、本体機能は都度アップデートがかかり最新のシステムに保たれます。
既存システムとの連携や今後の拡張性も見据えると、SaaS型がおすすめです。
SaaS型ECシステム「GMOクラウドEC」について詳しくはこちら

導入前に知っておきたい注意点と、その乗り越え方

どんなツールにも言えることですが、B2B EC導入にも事前に知っておくべき注意点があります。しかし、それぞれ適切な対策を講じることで十分に乗り越えられます。

主な注意点(デメリット) 対策
(1)導入・運用コストがかかる 業務効率化による人件費削減や売上向上効果を事前に試算し、費用対効果を明確にします。IT導入補助金などを活用するのも有効です。
(2)社内の業務フロー変更が必要 なぜ導入するのか、どんなメリットがあるのかを社内全体で共有します。研修会などを開き、新しいフローへの移行を丁寧にサポートします。
(3)取引先への説明と協力依頼 取引先にとっても「24時間発注可能」「発注ミスがなくなる」といった利便性を伝え、協力を仰ぎます。分かりやすいマニュアルを用意したり、一定期間は従来の方法と併用したりする配慮も有効です。

B2B ECの成功事例から学ぶ


百聞は一見に如かず。実際にB2B ECを導入し、大きな成果を上げている企業の事例をご紹介します。

事例1:アスクル株式会社(オフィス用品通販)

言わずと知れたB2B ECの代表格。あらゆるオフィスが必要とする備品をECサイトで販売し、「翌日配送」という圧倒的な利便性で、多くの企業にとって不可欠なインフラとなっています。

事例2:株式会社トミザワ(中古オフィス機器販売)

基幹システムとECサイトの在庫情報を一元管理。これにより、販売情報と在庫管理が劇的に効率化され、顧客はいつでも正確な在庫を確認して安心して購入できるようになりました。

事例3:日野トレーディング株式会社(自動車・工業部品販売)

ECサイト上にB2B向けの「稟議システム」を独自に構築。顧客企業が見積依頼から社内稟議、発注までをWeb上で完結できる仕組みを作り上げました。結果として、発注までの時間が大幅に短縮され、稟議中の保留やキャンセルといった機会損失の削減に繋がっています。

「GMOクラウドEC」で構築した事例

  • 株式会社USEN
    USENサービスをご契約のお客様向けに、お客様満足度向上と全国多数の店舗の顧客基盤を活かし、特別価格でご利用可能な店舗向けの通販サイト「USEN CART」(https://cart.usen.com)を運営。
    これまでの運用と商品を拡充を行なっていく中で、目的の商品を見つける為の検索性であったり、お客様目線での利便性といった所で課題も見えてきたため、お客様満足度の向上(商品の見やすさ・操作性向上)を目的に、GMOクラウドECのプラットフォームを活用し、フルリニューアルを行う。

上記事例のほかにも、多数の導入実績がございます。その他の導入事例はこちらから
また、事例ページに紹介されていない導入実績もございますので、お気軽にお問い合わせください。「GMOクラウドEC」のお問い合わせはこちらから

まとめ:事業成長を加速させ、未来を切り拓く「B2B EC」


B2B ECの導入は、単なる「業務効率化ツール」ではありません。
それによって生まれた時間や人材、データを、新商品開発や顧客サポートの向上といった、企業の未来を創るためのコア業務に再投資できます。

販売も仕入れもオンラインが当たり前となる時代は、すでに始まっています。
まずは自社の受発注業務のどこに課題があるのかを洗い出すことから、未来への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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