• 最終更新日: 2025.10.27
  • 公開日:2022.04.01

BtoB-ECサイトとは?構築方法から市場規模、成功事例まで徹底解説

BtoB-ECサイトとは?構築方法から市場規模、成功事例まで徹底解説
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BtoC-EC(企業対消費者取引)といえばAmazonや楽天市場などがすぐに思い浮かびますが、「BtoB-EC(企業間取引)」と聞いても具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。

しかし、BtoB-ECは私たちの知らないところで巨大な市場を形成し、多くの企業のビジネスを根幹から支えています。この記事では、エンタープライズ企業のEC担当者様に向けて、BtoB-ECサイトの基本から市場規模、メリット・デメリット、そして最も重要な「自社に最適な構築方法の選び方」まで、専門家の視点から分かりやすく解説します。


BtoB-ECサイトとは

BtoB-ECサイトとは、企業が他の企業に対して製品やサービスを販売するための電子商取引(Electronic Commerce)サイトを指します。具体的には、メーカーが卸売業者に、卸売業者が小売店に商品を販売する卸売ECサイトや、オフィス用品や工場で使われる間接材などを販売する業務用ECサイトがこれにあたります。

まずは、混同されがちな「BtoC-EC」「EDI」との違いや、その巨大な市場規模について理解を深めましょう。

BtoB-ECとBtoC-ECの違い

BtoC-ECが、Amazonやユニクロのように企業が一般消費者へ商品を販売するサイトであるのに対し、BtoB-ECは取引相手が法人である点が根本的に異なります。この違いにより、ビジネスモデルにも以下のような特徴が生まれます。

項目 BtoB-EC BtoC-EC
顧客 特定の企業(既存取引先が中心) 不特定多数の一般消費者
取引 継続的なリピート購入が多い 単発での購入が多い
顧客単価 高い傾向にある 低い傾向にある
決済方法 掛け売り(請求書払い)、口座振替など クレジットカード、代引き、後払いなど
価格設定 顧客ごとに異なる価格(掛け率)を設定 全員に同じ価格を提示

BtoB-ECとEDIの違い

EDI(Electronic Data Interchange)は、専用回線などを介して企業間で取引データを電子的に交換する仕組みです。特定の取引先とのやり取りを効率化する点でBtoB-ECと似ていますが、Webサイトのインターフェースを持たず、あくまでデータ交換に特化している点が異なります。

2024年1月にISDNの主要サービスが終了したことを受け、旧来のEDIシステムから、ブラウザ上で利用できるWeb-EDIや、より汎用性の高いBtoB-ECサイトへ移行する企業の動きが加速しています。

BtoB-ECの市場規模と最新動向

経済産業省が2024年8月に発表した最新の調査によると、2023年のBtoB-ECの市場規模は445兆5,560億円に達し、依然として力強い成長を続けています。

また、すべての商取引におけるEC化の割合を示す「EC化率」も39.0%へと伸長。これは、BtoB取引全体の約4割が、すでにECプラットフォームを通じて行われていることを意味します。この巨大な市場は、企業間取引におけるデジタル化がいかに大きな可能性を秘めているかを物語っています。


目的で選ぶ、BtoB-ECサイトの2つの「型」

BtoB-ECサイトは、その公開範囲と主目的によって大きく2つの型に分けられます。自社の事業戦略にどちらが合致するか、明確にすることが成功の第一歩です。

① クローズド型:既存取引の深化と効率化

特定の登録企業のみがログインして利用できる、招待制のECサイトです。IDとパスワードがなければ、部外者は商品情報や価格を一切閲覧できません。

最大の特長は、顧客ごとに異なる商品カタログや価格(掛け率)、決済条件を柔軟に適用できる点にあります。既存顧客との複雑な取引条件を維持したまま、電話やFAXに依存した受注業務をデジタル化し、大幅な業務効率化を実現します。

② オープン型:新規販路の開拓と事業拡大

一般のBtoCサイトのように、誰でも閲覧・会員登録ができるECサイトです。Web広告やSEO対策を通じて、これまで接点のなかった潜在顧客にアプローチし、新規の取引先を開拓することを主な目的とします。

小ロットでの取引や、新たな市場への参入チャネルとして有効です。ただし、企業情報を登録した法人会員のみに卸価格を表示するなど、BtoCとは異なる仕組みも求められます。


BtoB-ECサイト導入がもたらす提供価値(メリット・デメリット)

BtoB-ECサイトの導入は、企業に多くの価値をもたらしますが、一方で導入前に考慮すべき点も存在します。

主なメリット

  1. 属人化した受注業務からの解放
    電話やFAXによる注文の聞き取りやシステムへの手入力、問い合わせ対応といった作業が自動化され、担当者の負担を大幅に軽減。人的ミスを防ぎ、より付加価値の高いコア業務にリソースを集中できます。
  2. 24時間365日の販売機会創出
    顧客は場所や時間を問わず、必要なタイミングで発注できるため、機会損失を防ぎ、顧客満足度の向上に直結します。
  3. 新たな事業機会の創出と販路拡大
    オープン型のECサイトを構築すれば、新たなWebマーケティングチャネルとして、これまでアプローチできなかった国内外の潜在顧客との接点を創出できます。

導入前に考慮すべき点(デメリット)

  1. 導入・運用コストの発生
    システムの構築には初期費用が、運用には月額費用や人的リソースが必要です。
  2. 既存の業務フローの再設計
    社内での受注処理プロセスや、営業担当者の役割の見直しが求められます。
  3. 既存顧客への丁寧な導入支援
    長年電話やFAXで取引してきた顧客にとっては、システム移行が負担になる場合もあります。導入メリットを丁寧に説明し、操作方法のサポートを行うなどの配慮が不可欠です。

【費用で比較】BtoB-ECサイトの4つの構築方法

BtoB-ECサイトを構築するには、主に4つの方法があります。これは事業フェーズや予算、そして将来の拡張性を左右する重要な選択です。それぞれの特徴を正しく理解しましょう。

構築方法 初期費用 月額費用 特徴
カートASP 数万円~30万円 数千円~10万円 長所: 安価で迅速に導入可能。
短所: カスタマイズ性が低く、複雑な要件には不向き。
ECパッケージ 500万円~ 5万円~ 長所: カスタマイズ性が高く、独自の要件に対応可能。
短所: 導入費用が高額。サーバー管理や保守が必要。
クラウドEC 300万円~ 10万円~ 長所: パッケージ並みのカスタマイズ性とASPの手軽さを両立。
短所: 月額費用が比較的高め。ソースコードは非公開。
フルスクラッチ 数千万円~ サーバー代等 長所: 完全に自由な設計が可能。
短所: 費用と開発期間が最大。高度な専門知識が必要。

 

カートASP
クラウド上の既製システムを利用する方法。低コストかつ短期間で導入できるため、小規模な事業者や、まずはお試しでBtoB-ECを始めたい企業に向いています。

ECパッケージ
ECサイトに必要な機能をパッケージ化したソフトウェアを自社サーバーにインストールする方法。カスタマイズの自由度が高く、大規模なECサイトや独自の要件を持つエンタープライズ企業に選ばれることが多いです。

クラウドEC
ASPと同様にクラウド上のシステムを利用しますが、API連携などを通じてASPよりも柔軟なカスタマイズが可能です。サーバー管理が不要で、システムが自動で最新の状態に保たれる点が大きなメリットです。

フルスクラッチ
ゼロからオリジナルのECシステムを開発する方法。最も自由度が高い反面、莫大なコストと時間が必要です。非常に特殊な要件がある場合に限定される選択肢です。


失敗しないBtoB-ECサイト構築|プラットフォーム選定4つの重要ポイント

特にエンタープライズ企業がBtoB-ECサイトを成功させるためには、表面的な機能だけでなく、自社のビジネス基盤と連携できるか、将来の事業拡大に対応できるか、といった視点が不可欠です。ここでは、プラットフォーム選定で絶対に外せない4つのポイントを解説します。

ポイント1:既存システム(基幹・販売管理など)との連携性

BtoB-ECサイトは、それ単体で完結するものではありません。在庫情報、顧客情報、受注データなどを管理する基幹システム(ERP)や販売管理システムとスムーズに連携できるかは最も重要な要件です。データ連携ができないと、ECサイトと社内システムで二重入力が発生し、かえって業務が非効率になる恐れがあります。

ポイント2:独自の商習慣に対応できるカスタマイズ性

企業間取引には、業界特有の複雑な商習慣が存在します。「取引先ごとの掛け率設定」「見積書の発行・承認フロー」「複数部署によるアカウント管理と権限設定」「ボリュームディスカウント」など、自社独自の要件に対し、標準機能やカスタマイズで柔軟に対応できるかを見極める必要があります。

ポイント3:堅牢なセキュリティと安定したインフラ

大量の顧客情報や取引データを扱うBtoB-ECサイトにとって、セキュリティは生命線です。不正アクセスやサイバー攻撃からシステムを守るための堅牢なセキュリティ対策が講じられているかを確認しましょう。また、大規模なアクセスにも耐えうる安定したサーバーインフラも必須です。

ポイント4:導入後の運用を見据えたサポート体制

システムは導入して終わりではありません。運用中に発生する疑問やトラブルに対して、迅速かつ的確に対応してくれるサポート体制が整っているかどうかも重要な選定基準です。専門の担当者による伴走支援など、手厚いサポートを提供するベンダーを選ぶと安心です。


BtoB-ECサイト構築におすすめのクラウドECプラットフォーム

前述の4つの重要ポイント、特にエンタープライズに求められる「柔軟なカスタマイズ性」と「安定したインフラ」を高いレベルで両立する選択肢として、近年注目されているのがクラウドECです。

 

GMOクラウドEC
「GMOクラウドEC」は、BtoB特有の複雑な要件に対応する豊富な標準機能と、お客様の業務フローに合わせた個別カスタマイズが可能なクラウドECプラットフォームです。

  • 取引先ごとの商品・価格設定:得意先ごとの掛け率変更にも柔軟に対応。
  • 見積書・領収書のWeb発行:営業担当者や事務担当者の書類作成業務を削減。
  • 代理注文機能:電話・FAXで受けた注文もシステムで一元管理可能。
  • 個別カスタマイズ:メーカー直送や権限別の承認フローなど、貴社のワークフローに最適化。
  • システム連携:既存の基幹システムや販売管理システムとのデータ連携も自動化。

クラウド型のためシステムの陳腐化が起きず、常に最新のセキュリティ環境で安心してご利用いただけます。

→「GMOクラウドEC」について詳しくはこちら


【業界別】BtoB-ECサイトの成功事例

最後に、実際にBtoB-ECサイトを導入して成功している企業の事例を見ていきましょう。自社のビジネスに近い事例を参考にすることで、導入後のイメージがより具体的になります。

【工業】モノタロウ

https://www.monotaro.com/

工業用資材や工具を扱うモノタロウは、BtoB-ECの代表格です。膨大な商品数を、優れた検索機能と分かりやすいカテゴリ分類で整理し、ユーザーが必要な商品をすぐに見つけられるUI/UXを実現。品番などを入力するだけで発注できる「クイックオーダーシステム」も、リピート顧客の利便性を高めています。

【食品】フーヅフリッジ

https://foodsfridge.jp/

飲食店向けに業務用食材を販売するBtoB-ECサイトです。最小ロットの制限を設けないことで、小規模な個人経営の飲食店でも利用しやすい点が特徴です。また、LINEやAmazonのアカウントで手軽に会員登録できる仕組みを導入し、新規顧客獲得のハードルを下げています。

【医薬品】クスリバンク

http://shop.kusuribank.com/

医療機関や薬局向けに医薬品を販売。取り扱いに専門知識や許可が必要な商品を扱うため、会員登録時に法人番号や販売許可証の提出を義務付けることで、取引の安全性を担保しています。クローズドな会員制サイトの好例です。


まとめ:BtoB-ECは「選択」から「必須」の経営戦略へ

本記事では、BtoB-ECサイトの基本から市場の最新動向、具体的な構築方法、そして成功のための選定ポイントまでを網羅的に解説しました。

もはやBtoB-ECは、単なる「業務効率化ツール」ではありません。デジタル化が加速する現代において、企業の競争力を左右する重要な経営戦略です。自社のビジネスモデルや将来の展望に合わせ、最適な構築方法とプラットフォームを選定することが、プロジェクト成功の鍵を握ります。

BtoB-ECサイトの構築は、BtoCとは異なる独自のノウハウが求められます。システムや制作会社を選ぶ際は、BtoB領域での実績が豊富なパートナーを選ぶことを強くお勧めします。

 

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