- 最終更新日: 2025.11.28
- 公開日:2023.05.19
【2025年最新版】EC業界の動向・ビジネスモデル・課題&対策を徹底解説

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コロナ禍の特需を経て、EC(電子商取引)は私たちの生活における「社会インフラ」として完全に定着しました。
2025年現在、EC市場は新規参入のフェーズを終え、「いかに収益性を高め、持続可能な事業モデルを構築するか」という質的成長が問われる局面に突入しています。特にエンタープライズ企業(大企業・中堅企業)においては、単なるサイト運営にとどまらず、基幹システムとの連携、物流の自動化、そして深刻化する人手不足への対応など、経営レベルでの高度な判断が不可欠です。
本記事では、EC事業の責任者・担当者が必ず押さえておくべき最新の市場動向(2025年8月公表データ)、ビジネスモデルの基礎、そして今直面している課題と具体的な対策を網羅的に解説します。
目次
EC(Eコマース)とは?
EC(Electronic Commerce)は「電子商取引」と訳され、インターネット上でモノやサービスを売買するすべてのビジネスを指します。
Amazonや楽天市場のようなモールでの買い物はもちろん、ネットオークション、企業間の受発注システム(BtoB)、動画配信サービスのサブスクリプション契約などもすべてECに含まれます。従来の「紙」や「対面」で行っていた契約・決済・商流をデジタルに置き換え、効率化したものがECの本質です。
EC業界の代表的な4つのビジネスモデル
EC事業は、取引の主体が「誰」かによって、主に以下の4つに分類されます。
| 種類 | 意味 | ビジネスモデルの特徴 |
|---|---|---|
| BtoC | Business to Consumer | 企業対消費者。 Amazon、楽天、ユニクロなどの自社EC。最も一般的で身近なモデルです。 |
| BtoB | Business to Business | 企業間取引。 卸売サイトやWeb受発注システム。市場規模はBtoCの約20倍と巨大です。 |
| CtoC | Consumer to Consumer | 個人間取引。 メルカリやYahoo!オークションなど。プラットフォームを提供し手数料を得るモデルです。 |
| DtoC | Direct to Consumer | メーカー直販。 卸・小売を通さず、メーカーが自社サイト等で顧客へ直接販売するモデルです。 |
エンタープライズ企業こそ「DtoC」の視点を
近年定着したDtoC(D2C)は、単なる「中抜きによる利益率向上」だけが目的ではありません。従来のBtoC(小売店経由)では取得できなかった「詳細な顧客データ(1st Party Data)」をメーカー自身が保有できる点こそが最大の価値です。
顧客の声を直接収集し、それを商品開発やCRM(顧客関係管理)に即座に反映させるサイクルは、ブランド価値向上を目指す大手メーカーにとって、いまや不可欠な戦略となっています。
【2025年最新】EC市場規模と動向

経済産業省が2025年8月に発表した最新調査(令和6年度 電子商取引に関する市場調査/2024年実績値)に基づき、市場の現在地を解説します。
① BtoC市場:26兆円規模へ到達、サービス系が牽引
2024年の日本国内BtoC-EC市場規模は、約26兆円台に到達しました。
- 物販系: 生活必需品を中心に利用が定着しており、堅調に推移しています。
- サービス系: 旅行・飲食予約・チケット販売などがコロナ禍前の水準を超えて拡大し、市場全体の伸びを牽引しました(前年比9%超の成長)。
- デジタル系: 電子書籍や動画配信などが安定成長を続けています。
② BtoB市場:514兆円の巨大市場、EC化率は43.1%
一般消費者の目には触れにくいBtoB-ECですが、その市場規模は514兆4,069億円(前年比10.6%増)と圧倒的です。
さらに注目すべきは、EC化率が43.1%(前年比3.1ポイント増)に達した点です。電話・FAXや旧来のEDIによるアナログな受発注が、急速にWebシステムへ置き換わっています。人手不足が深刻化する中、業務効率化の切り札として、企業のIT投資が最も集中している領域と言えます。
③ CtoC市場と越境EC
- CtoC市場: 市場規模は約2.5兆円(前年比微増)となり、リユース(中古)市場として完全に定着しました。
- 越境EC(対中国): 中国の消費者による日本事業者からの購入額は2兆6,372億円(前年比8.5%増)となりました。円安を背景に、高品質な日本製品への需要は依然として底堅い状況です。
2026年・EC担当者が押さえるべき重要トレンド

市場の成熟に伴い、トレンドは単なる「集客」から「チャネル統合」と「収益源の多様化」へシフトしています。
OMO(Online Merges with Offline)
「ネットでも店舗でも買える」状態から一歩進み、オンラインとオフラインの境界をなくす戦略です。
「アプリで注文し、店舗で受け取る(BOPIS)」や「店舗で在庫切れの商品をその場でQR決済し、自宅へ配送する」といったシームレスな購買体験(CX)が当たり前になりました。これを実現するには、顧客IDを統合し、すべての行動データを一元管理する基盤が必要です。
リテールメディア
「3rd Party Cookie規制」への対抗策として、2024年から急速に拡大したトレンドです。
ECサイト自体を「メディア(広告媒体)」と捉え、サイト内の検索結果等にメーカー広告を掲載して収益を得るモデルです。大手小売業が自社ECの膨大なアクセスデータを活用し、物販に次ぐ「第2の収益源」として確立し始めています。
ヘッドレスコマース
フロントエンド(UI/UX)とバックエンド(カート・決済・在庫管理)を切り離して構築するシステム構造です。
スマートウォッチ、SNS、店舗のデジタルサイネージなど、あらゆるタッチポイントへ迅速に「購入ボタン」を実装できるため、顧客接点の多様化が進むエンタープライズECにおいて採用が加速しています。
EC事業が直面する「3つの壁」と対策

市場拡大の一方で、競争環境と外部環境は厳しさを増しています。現在、エンタープライズ企業が直面している主な課題と、その対策を解説します。
① 集客コストの高騰とLTV(顧客生涯価値)の重要性
Web広告費の高騰により、新規顧客獲得コスト(CPA)は上昇の一途をたどっています。
- 【対策】CRMの高度化によるファン化
「焼畑農業」的な新規獲得偏重からの脱却が必要です。自社保有データ(1st Party Data)を活用し、MA(マーケティングオートメーション)やアプリのプッシュ通知を用いて既存顧客のリピート率を高める施策が、収益安定の鍵となります。
② 「物流2024年問題」後の慢性的なコスト増
ドライバー不足や法改正による物流キャパシティの低下(物流2024年問題)の影響は続いており、配送コストの上昇は不可避な状況です。
- 【対策】物流DXと在庫の全体最適
OMS(注文管理システム)を導入し、実店舗在庫と倉庫在庫を一元化することで、「最も近い場所から出荷する」または「店舗受取へ誘導する」仕組みを構築し、配送距離を物理的に短縮してコストを抑制する必要があります。
③ レガシーシステムの老朽化(2025年の崖)
長年改修を重ねたECシステムが複雑化・ブラックボックス化し、新機能の追加やセキュリティ対策の足かせとなるケースが多発しています。
- 【対策】SaaS/クラウド型への移行
自社開発(フルスクラッチ)に固執せず、常に最新機能がアップデートされるSaaS型プラットフォームや、拡張性の高いヘッドレス構成への刷新を検討すべきです。「所有」から「利用」へシステム戦略を転換し、市場の変化に即応できる体制を作ることが急務です。
SaaS/クラウド型ECなら、「GMOクラウドEC」がおすすめです。
システムが常に最新の状態へ自動アップデートされるSaaS型の利便性を持ちながら、パッケージ型のように個別のカスタマイズ要望にも柔軟に対応できる「良いとこ取り」のプラットフォームです。
APIを通じてフロントエンドとバックエンドを切り離すヘッドレス構成を採用しているため、Webサイトだけでなくアプリやスマートデバイスなど、あらゆるチャネルで制約のない自由なデザインと顧客体験を構築可能です。
これにより、インフラ管理やセキュリティ対策のコストを抑えつつ、ビジネスの成長やトレンドに合わせてシステムを柔軟に拡張し続けることができます。
まとめ:データ活用と全体最適が勝敗を分ける
2025年のEC事業において、単に「良い商品をサイトに並べる」だけでは生き残ることは困難です。
- 最新の市場データに基づいた冷静な戦略立案
- オンライン・オフラインを統合した顧客体験(OMO)の提供
- BtoB領域も含めた業務プロセスの徹底的なデジタル化
これらを組み合わせ、顧客にとっての「利便性」と自社の「収益性」を両立させる「全体最適」の視点こそが、次の成長への鍵となります。まずは自社の課題が「集客」「システム」「物流」のどこにあるのかを見極め、優先順位をつけて変革に取り組みましょう。












