• 最終更新日: 2025.04.24
  • 公開日:2020.06.12

「サブスク」ってどんなビジネス? 消費者ニーズと成功のポイントを徹底解説

「サブスク」ってどんなビジネス? 消費者ニーズと成功のポイントを徹底解説
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「売上が伸び悩んでいる…新しいビジネスの切り口を見つけたい」 「これまでとは違う方法で、お客様と長く続く関係を築きたい」

こうしたビジネス上の課題を感じる中で、今「サブスクリプション(サブスク)」というモデルに熱い視線が注がれています。

月額料金などでサービスや商品を継続的に利用できるサブスクは、動画や音楽の配信サービスで一気に私たちの生活に浸透しました。とはいえ、「従来の定期購入と何が違うの?」「どんな種類があって、どう始めればいいのだろう?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、様々なサブスクサービスの事例を紹介しながら、その仕組み、成功へのカギ、そしてビジネスとしてスタートするための具体的なステップや注意点まで、分かりやすく解説していきます。

なぜ今サブスク? 市場の動向と企業にとっての魅力


サブスク市場は、「モノを所有する」ことから「必要な時に利用する」ことへと消費者の価値観がシフトする中で、急速にその規模を拡大しています。各種調査※によれば、国内のサブスク市場は今後も成長が見込まれており、多くの企業にとって無視できないビジネスチャンスとなっています。(※例:矢野経済研究所の2023年調査では、2025年度の市場規模予測が示されています)

企業がサブスクに魅力を感じる最大の理由は、継続的な収益が見込める点です。一度顧客になってもらえれば、毎月(または毎年)の安定した売上が期待できます。さらに、顧客データを蓄積・分析することで、一人ひとりに合わせたサービス提供や、より的確な商品開発に繋げられることも大きなメリットと言えるでしょう。

サブスク成功の鍵は「最高の顧客体験」

サブスクビジネスで最も大切なのは、「いかに顧客に長くサービスを使い続けてもらうか」という点です。これは、顧客一人ひとりが生涯を通じて企業にもたらす価値(LTV:Life Time Value)を最大化することに直結します。

LTVを高めるには、単に商品を届けるだけでは足りません。顧客が「このサービスなしでは考えられない!」「使い続けたい!」と心から感じるような「最高の顧客体験」を提供し続けることが不可欠です。

具体的には、次のような取り組みが成功のカギを握ります。

  • データに基づいたパーソナライズ: 購買履歴や利用パターンを分析し、個々の顧客の好みに合った商品や情報を提供する。
  • 飽きさせない工夫: 定期的な新サービス・機能の投入、会員限定コンテンツの配信、柔軟なプラン変更オプションなど。
  • ストレスフリーな利用環境: アプリやマイページでの簡単な手続き(配送日変更、プラン変更、解約など)、スムーズな返品・交換対応。
  • 積極的なコミュニケーション: SNSや専用コミュニティでの交流促進、顧客からのフィードバックをサービス改善に活かす姿勢、丁寧なカスタマーサポート体制。

こうした地道な改善を続け、顧客との良い関係を育み、解約率(チャーンレート)をできる限り低く抑えることこそ、サブスクビジネスを成功させるための生命線なのです。

サブスクの種類を知ろう:“コト”と“モノ”


サブスクが広く知られるようになったのは、Netflixのような動画配信やSpotifyのような音楽配信といった、物理的な商品が手元に残らない「コト(体験型)」サービスがきっかけでした。

月額料金で膨大なコンテンツにアクセスできるようになったことで、私たちのエンターテイメントの楽しみ方は劇的に変化しました。

そして現在、このサブスクの波は、洋服、食品、化粧品、家具、自動車といった「モノ」の世界にも力強く押し寄せ、多様なサービスを生み出しています。

消費者ニーズに応える!サブスクビジネス【4つの型】


では、具体的にどのようなサブスクビジネスの型が存在するのでしょうか? 近年の消費者調査※によると、人々がサブスクを利用する主な理由は「手間が省ける」「お得感がある」「色々なものを試せる」「専門家が選んでくれる」「モノを所有しなくて済む」など多岐にわたります。(※近年の複数の調査で同様の傾向が見られます)

ここでは、「モノ」のサブスクを中心に、代表的な4つのビジネスモデルを、それぞれが応える消費者ニーズと合わせて見ていきましょう。

型1:定期お届け型(特定商品の継続)

消費者の声: 「買い忘れがなくて助かる」「毎月定額だから予算管理しやすい」「お得に続けられるのが嬉しい」

どんなサービス? 化粧品、健康食品、サプリメント、ウォーターサーバーの水、コンタクトレンズ、おむつなど、最初に選んだ特定の商品を、決まったサイクルで継続的に届けるタイプ。「リピート通販」や「定期購入」に近いですが、利便性や付加価値がより重視される傾向にあります。

型2:バラエティ型(毎回違う商品が届く)

消費者の声: 「手間なく色々な種類を試したい」「コレクションするのが楽しい」「自分では選ばないものに出会いたい」

どんなサービス? コーヒー豆、季節のフルーツ、ご当地パン、雑誌など、同じカテゴリーの中で毎回異なる商品が届くのがこのタイプ。かつての「頒布会」のようなイメージです。少しずつパーツが届いて長期間で完成させる模型なども、この型に含まれます。

型3:セレクト型(プロが選んでくれる)

消費者の声: 「自分にぴったりのものを専門家に選んでほしい」「新しいお気に入りを見つけたい」「選ぶ時間を節約したい」

どんなサービス? プロのバイヤーやスタイリスト、専門家などが、顧客の好みやテーマに合わせて商品をセレクトして届ける仕組みです。コスメボックス、日本酒やワインの詰め合わせ、パーソナライズされたお菓子、お花の定期便などが人気を集めています。

型4:レンタル型(必要な時だけ利用)

消費者の声: 「色々な商品を気軽に試してみたい」「短期間だけ使いたい」「保管場所に困らないのがいい」「所有するリスクを避けたい」

どんなサービス? ファッション(洋服、バッグ)、家電、カメラ、家具、ベビー用品、おもちゃ、自動車など、比較的高価な商品や、一定期間だけ必要になる商品を、月額料金などで借りられるモデル。「所有」から「利用」への価値観の変化を最も象徴するタイプと言えるでしょう。

サブスクを始めよう:“ステップ”と“注意点”

サブスクビジネスの始め方【5つのステップ】


「自社でもサブスクを始めてみたい!」そう考えたら、一般的に次の5つのステップで進めていくことになります。

1.アイデア出しと市場調査

  • どんな価値(商品・サービス・体験)を提供するか? 顧客のどんな課題を解決できるか?
  • ターゲットとする顧客層は? そのニーズの大きさは?
  • 競合は存在する? その強みや弱点は?

2.ビジネスモデルの設計

  • 提供する具体的な内容、料金プラン(月額/年額、段階制など)、提供頻度を決定する。
  • コスト構造を把握し、収益計画(目標LTVなど)を具体化する。

3.システム・仕組みの構築

  • 顧客が申し込みや情報管理を行えるECサイト/プラットフォームを用意する。
  • 定期的な課金を安全に行うための決済システムを導入する。
  • 顧客情報や利用状況を一元管理する顧客管理システム (CRM)を構築する。
  • 在庫管理、梱包、配送、そして(レンタル型の場合は)返却・メンテナンスまで含めた商品管理・物流体制を整える。

4.集客とプロモーション

  • ターゲット顧客にサービスの魅力を効果的に伝える(Web広告、SNS活用、コンテンツマーケティングなど)。
  • 無料トライアルや割引キャンペーンなどで、利用開始のハードルを下げる工夫をする。

5.運用・分析・改善

  • サービス提供を開始し、顧客からのフィードバックを積極的に収集する。
  • 重要指標(新規契約数、継続率、解約率、LTVなど)を定期的にモニタリングし、分析する。
  • 分析結果や顧客の声を基に、サービス内容、価格設定、プロモーション方法などを継続的に見直し、改善していく。

始める前に知っておきたい!サブスクビジネスの注意点

多くの可能性を秘めたサブスクビジネスですが、成功のためには注意すべき点もいくつか存在します。

  • 価格設定の難しさ: 顧客にとって魅力的であり、同時に事業としてきちんと利益を確保できる価格設定は、非常にデリケートなバランスが求められます。
  • 継続利用のハードル: 顧客に「使い続けたい」と感じてもらうための価値提供や関係構築を怠ると、解約率が上昇し、ビジネスの継続が困難になります。
  • 法規制の遵守: 提供するサービス内容によっては、特定商取引法の規制対象となる場合があります。契約条件の明確な表示や、中途解約に関するルールなど、関連法規をしっかりと理解し、遵守する必要があります。
  • システム投資と運用コスト: 初期投資としてシステム構築費用が発生するだけでなく、システムの維持管理費、顧客対応の人件費、物流コストなど、継続的な運用コストも考慮に入れる必要があります。

サブスクビジネスを支えるシステム基盤

サブスクビジネスを円滑に運営し、優れた顧客体験を提供するためには、それを支える適切なITシステムの存在が欠かせません。

  • 基本となるシステム: 「始め方」のステップでも触れた、決済システム、顧客管理システム(CRM)、商品・在庫管理システムなどが基盤となります。
  • コミュニケーションを強化するツール: メールマーケティングツールやマーケティングオートメーション(MA)ツールなどを活用し、顧客との関係性を深めることも有効です。
  • データ活用のための基盤: 蓄積された顧客データを分析し、サービス改善や効果的なマーケティング施策に繋げるための分析ツールも重要性を増しています。

近年では、顧客との接点となるフロントエンド(Webサイトやアプリのデザイン・操作性など)と、裏側のシステム(EC機能、在庫管理など)を分離してAPIで連携させる「ヘッドレスコマース」※というアーキテクチャも注目を集めています。これにより、デザインの自由度を高めたり、スマートフォン、PC、スマートスピーカーといった多様なデバイスに最適化された体験を提供しやすくなるというメリットがあります。(※「ヘッドレスコマース」について詳しくはこちら

 

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まとめ:顧客と共に成長するビジネスモデルへ

サブスクリプションは、単に商品を継続的に販売する仕組みではありません。それは、顧客との長期的な関係性を築き上げ、顧客の声に耳を傾けながら、共に価値を創造していく、新しい時代のビジネスモデルと言えるでしょう。

成功のためには、顧客一人ひとりを深く理解し、データを賢く活用しながら、常にサービスを進化させていく姿勢が何よりも大切です。

この記事が、あなたの会社の商品やサービス、そして大切なお客様にとって、どのようなサブスクビジネスの可能性があるのかを考えるきっかけとなれば幸いです。

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    EC News編集部

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