- 最終更新日: 2026.01.27
- 公開日:2021.08.31
コロナ禍で「ZOOM EC」が誕生?小売業界で広がる新たなWEB接客とは?

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コロナ禍を契機に、小売業界およびEC業界では、顧客との接点の在り方が大きく変化しました。外出自粛や来店機会の減少によりEC利用は拡大しましたが、その一方で、店舗が強みとしてきた「対面接客」を十分に提供できないという課題も浮き彫りになりました。
こうした状況の中で注目を集めたのが、Zoomなどのオンラインビデオ通話を活用したオンライン接客(WEB接客)です。近年では、ECサイトの補助的な機能にとどまらず、接客から決済までをオンライン上で完結させる取り組みも見られるようになっています。
本記事では、エンタープライズ企業のEC担当者に向けて、オンライン接客(WEB接客)の概要と市場環境、小売・ネットショップで活用が進む背景、導入によるメリットと注意すべきデメリット、実務目線での導入・設計ポイントを整理し、今後のEC戦略を検討する際の判断材料を提供します。
目次
オンライン接客(WEB接客)とは何か

オンライン接客(WEB接客)とは、オンライン上で顧客の疑問や不安を解消し、購買を支援する仕組みの総称です。主な手法には、以下のようなものがあります。
- チャット接客(有人チャット/チャットボット)
- ビデオ接客(Zoomなどを利用したオンライン相談)
- 接客予約(担当者・時間枠を指定して行う相談)
- オンライン決済(接客後に決済リンクなどで購入)
- アプリ統合型接客(チャット・接客・決済を一体化)
とくに、説明や提案が購買判断に大きく影響する商材では、オンライン接客の有無がECの成果を左右しやすくなっています。
市場環境:EC拡大と接客ニーズの変化

日本のEC市場は拡大が続く
経済産業省の「令和5年度 電子商取引に関する市場調査」によると、2023年の国内BtoC EC市場規模は24.8兆円とされています。ECの利用が拡大するにつれ、「商品を購入できる」だけでなく、オンライン上でも十分な情報提供や相談ができる環境が求められるようになっています。
(参考)オンライン接客を含む周辺市場の成長
オンライン接客“単体”の市場規模は定義が難しいものの、関連領域である顧客エンゲージメント支援(Customer Engagement Solutions)のグローバル市場については、調査会社が成長見通しを公表しています。例えばGrand View Researchは、2023年に23.45B USD、2030年に50.03B USDへ拡大する見通し(CAGR 11.8%)を示しています。この数値はあくまで周辺領域の参考であり、オンライン接客そのものの国内規模を直接示すものではありません。
なぜ小売業界でオンライン接客が広がったのか

コロナ禍では、緊急事態宣言や感染対策の影響により、店舗の休業や時短営業、接客時間・人数の制限、来店自体を控える消費者の増加といった状況が続きました。
その結果、店舗スタッフの接客力を十分に活かせない、来店を前提とした販売プロセスが成立しない、「相談が必要な商品ほどECで売りにくい」といった課題が顕在化しました。これらの課題を補完する手段として、店舗接客をオンラインに移行する試みが広がっていったのです。
業界別に見るオンライン接客との相性
アパレル業界
アパレル業界では、サイズ感やコーディネート提案など、スタッフの提案力が購買に直結します。オンライン接客によって、店舗でのスタイリング提案をEC上でも再現しやすい点が評価されています。
化粧品・コスメ業界
肌悩みのヒアリングや使い方の説明など、カウンセリング要素が重要な分野です。実店舗での体験が制限される局面では、オンライン相談が顧客の不安を補う手段として活用されてきました。
家具・家電分野
家具や家電は高単価で検討期間が長く、サイズや設置条件、機能説明が必要となる商材です。そのため、オンラインでの事前相談が購買判断を後押しするケースが多く見られます。
オンライン接客の代表的な実装パターン
小売・EC企業では、次のような形でオンライン接客が設計されています。
- ビデオ接客とオンライン決済の組み合わせ
- 予約制によるWEB対面接客
- 自宅やショールームを映しながら行う相談
- チャット・接客・決済をアプリ上で統合
重要なのはツールの種類そのものではなく、自社の商材特性や購買プロセスに適した形で設計されているかどうかです。
「ZOOM EC」という考え方について

一部では、ECサイトを介さず、オンライン接客と決済を中心に購買を完結させるモデルを「ZOOM EC」と呼ぶケースがあります。ただし、「ZOOM EC」は業界で正式に定義された標準用語というより、概念的な呼称として用いられることが多い点には留意が必要です。
そこで本記事では次のように整理します。
- ECサイトが完全に不要になるわけではない
- 集客・商品理解・接客・決済の役割分担が多様化している
- 接客と決済を主軸とした購買導線が一部で成立している
この呼称に引っ張られず、自社に適用できるかどうかを冷静に判断することが重要です。
オンライン接客のメリットとデメリット

メリット
- 購買前の不安を解消しやすく、CVR改善が期待できる
- 店舗スタッフの知見をECに活用できる
- 地域に依存しない接客が可能になる
- OMO(店舗とECの連携)施策の基盤になりやすい
デメリット・注意点
- 人的リソースが必要で、スケールしにくい
- 接客品質にばらつきが生じやすい
- 教育・運用・ツール導入にコストがかかる
- KPIを設計しないと効果検証が難しい
そのため、すべての商品に一律で導入するのではなく、対象を絞って設計することが重要です。
エンタープライズEC担当者が検討すべきポイント

- 高単価・相談型商材から段階的に導入する
- チャット→予約→ビデオ接客→決済の導線を明確にする
- CRMと連携し、接客履歴をデータとして蓄積する
- 店舗とECを分断せず、役割を整理する
- KPI(CVR、客単価、予約率など)を設定し、改善を回す
オンライン接客は、単なる「コロナ対応施策」ではなく、今後のEC体験を拡張するための重要な選択肢の一つと位置付けるべきでしょう。
まとめ
- 経済産業省の調査によれば、2023年の国内BtoC EC市場規模は24.8兆円で、ECの拡大が続いている
- オンライン接客は、相談や提案が購買を左右する商材と相性が良い
- 「ZOOM EC」は概念的な呼び方であり、導入可否は商材・顧客・運用体制によって異なる
- 成功の鍵は、目的・対象・KPIを明確にしたうえでの設計にある
エンタープライズECにおいて、オンライン接客は検討に値する重要な施策の一つと言えるでしょう。










