- 最終更新日: 2026.08.28
- 公開日:2026.08.28
【2026年最新版】ECサイトのセキュリティリスクとは?主な脅威と対策

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「対策の必要性は分かっていても、自社のECサイトにどんなリスクがあり、何から手を付けるべきか分からない」という声は少なくありません。ECサイトのセキュリティリスクとは、不正アクセスや情報漏えい、不正利用によって売上・顧客・信用を失う可能性のことです。東京商工リサーチの調査では、2025年に上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えい・紛失事故は180件、漏えい人数は3,063万人分にのぼり、原因の64.4%が「ウイルス感染・不正アクセス」でした。本記事では、ECサイトが抱える主なリスクの全体像から、想定される損害、自社リスクの評価手順、優先すべき対策までを整理して解説します。
この記事の要点
- ECサイトのセキュリティリスクは「外部からの攻撃」「なりすまし・不正利用」「内部不正・委託先」の3系統で整理できる
- 2025年のクレジットカード不正利用被害額は510.5億円。うち番号盗用が9割超(日本クレジット協会)
- 被害は情報漏えいにとどまらず、サイト停止・カード決済停止・調査費用・信用低下まで連鎖する
- 評価は「情報資産の棚卸し→脅威と脆弱性の洗い出し→影響度×発生可能性で優先順位づけ」の3ステップ
- 優先対策は脆弱性対策・カード情報の非保持化・不正ログイン対策・EMV 3-Dセキュアの4点
目次
ECサイトのセキュリティリスクとは?
ECサイトのセキュリティリスクとは、脅威と自社の弱点が結びつき、情報漏えいや不正利用などの損害が発生する可能性のことです。「起こりやすさ」と「起きたときの影響の大きさ」の掛け合わせで捉えると、どこから手を打つべきかを判断しやすくなります。
セキュリティリスクとは、どのような概念ですか?
セキュリティリスクとは、守るべき情報資産に対する脅威と、その資産が抱える脆弱性(弱点)が組み合わさったときに損害が生じる可能性のことです。カード情報という資産に、Webスキミングという脅威と、更新されないまま放置されたシステムという脆弱性が重なれば、リスクは一気に高まります。
リスクを完全にゼロにすることはできません。すべての脅威に均等な労力をかけるのではなく、影響の大きいものから順に手を打つ考え方が現実的です。
なぜECサイトは狙われやすいのですか?
換金しやすい個人情報と決済情報が、24時間アクセスできる状態で1か所に集まっているためです。経済産業省の調査では、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)と拡大しており、市場の成長に比例して攻撃対象も広がっています。
脅威の傾向も変化しています。IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」組織向けでは、1位が「ランサム攻撃による被害」、2位が「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」で、3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されました。自社システムだけでなく、委託先や利用ツールまで見渡す視点が求められています。
ECサイトが抱える主なセキュリティリスクは?
主なリスクは「外部からの攻撃」「なりすまし・不正利用」「内部不正・委託先」の3系統に整理できます。まず全体像を表で押さえましょう。
| リスクの系統 | 代表的な手口 | 主に狙われるもの | 想定される被害 |
|---|---|---|---|
| 外部からの攻撃 | Webスキミング、SQLインジェクション、脆弱性の悪用、ランサム攻撃 | カード情報、会員データベース、サーバー | 情報漏えい、サイト停止、復旧費用 |
| なりすまし・不正利用 | パスワードリスト攻撃、フィッシング、盗用カードによる不正注文 | 会員アカウント、ポイント、商品 | 不正購入、チャージバック、対応工数の増加 |
| 内部不正・委託先 | 従業員によるデータ持ち出し、委託先経由の侵入、外部タグの改ざん | 顧客リスト、管理画面の権限 | 情報漏えい、契約上の責任、信用の低下 |
外部からの攻撃リスクとは?
中心となるのは、システムの脆弱性を突く侵入です。Webスキミングとは、決済ページに不正なスクリプトを埋め込み、利用者が入力中のカード情報を盗み取る攻撃です。画面の見た目に異常が出にくく発覚が遅れやすいため、被害が長期化しやすい点が課題です(詳しくはWebスキミングの仕組みを解説した記事)。
SQLインジェクション(入力欄から不正な命令を送り、データベースを操作する攻撃)やランサム攻撃も大きな脅威です。いずれも古いまま放置されたシステムやプラグインが入口になりやすく、更新の遅れがそのままリスクの大きさに直結します。
なりすまし・不正利用のリスクとは?
システムを壊さず、正規の入口から侵入されるリスクです。パスワードリスト攻撃とは、他社サービスから流出したIDとパスワードの組み合わせを使い、機械的にログインを試行する攻撃です。パスワードを使い回している会員がいる限り、自社が漏えい元でなくても被害が発生します。
盗用されたカード情報による不正注文も深刻です。日本クレジット協会によると、2025年のクレジットカード不正利用被害額は510.5億円で、そのうち番号盗用による被害が475.4億円と9割超を占めています。前年比8.0%減とはいえ、高い水準が続いています。
内部不正・委託先に起因するリスクとは?
権限を持つ人や組織を経由して、情報が外部に流出するリスクです。退職者のアカウントが残っている、管理画面の権限が全員一律といった運用は、事故の温床になります。
決済代行、物流、広告タグ、拡張機能など、ECサイトは多数の外部サービスと接続されており、どれか一つの弱点が全体の入口になり得ます。委託先の選定時にセキュリティ体制を確認し、契約で責任範囲を明確にしておきましょう。
リスクが現実化すると、どんな損害が出ますか?
損害は情報漏えいにとどまらず、サイト停止・決済停止・調査費用・信用低下へと連鎖します。ECでは「売上が立たない期間」が生じる点が、特に大きな痛手です。
| 損害の種類 | 具体的な内容 | 事業への影響 |
|---|---|---|
| 直接的な被害 | 情報の漏えい、不正注文による商品・現金の損失 | 売上減少、商品原価の損失 |
| 事業の停止 | サイトの一時閉鎖、カード決済の停止 | 停止期間中の売上機会の損失 |
| 対応コスト | フォレンジック調査(原因や影響範囲を特定する専門調査)、システム改修、問い合わせ対応 | 想定外の一時費用と工数の増加 |
| 法対応・責任 | 個人情報保護委員会への報告、本人への通知、損害賠償 | 対応工数の増加と賠償リスク |
| 信用の低下 | 報道や口コミによるブランドの毀損 | 再開後も売上回復が遅れる |
カード情報の漏えいが疑われる場合は、決済を停止したうえで調査するのが一般的で、その間は主要な決済手段が使えなくなります。不正注文による損失を誰が負担するのかも、事前に把握しておきましょう(チャージバックの仕組みと事業者の対応を解説した記事)。
また個人情報保護法では、財産的被害が生じるおそれのある漏えいが発生した場合、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務づけられています。速報は事態を知ってから概ね3〜5日以内が目安とされ、体制がないまま事故に直面すると初動が遅れます。
自社のセキュリティリスクはどう評価すればよいですか?
評価は「守る対象の棚卸し→脅威と脆弱性の洗い出し→影響度と発生可能性による優先順位づけ」の3ステップで進めます。対策の抜け漏れと、必要のない過剰投資の両方を防ぐことが目的です。
ステップ1:守るべき情報資産を棚卸しする
まず、どこにどのデータがあるかを一覧化します。会員情報、注文履歴、カード情報の取り扱い有無、管理画面のアカウント、外部連携しているサービスまで洗い出しましょう。「保持していないつもりのカード情報が、実は自社サーバーを通過していた」といったズレが見つかることも少なくありません。
ステップ2:脅威と脆弱性を洗い出す
次に、資産ごとに想定される脅威と現在の弱点を突き合わせます。システムの更新状況、管理画面の公開範囲、パスワードポリシー、委託先の管理状況が主な確認ポイントです。自社での判断が難しい場合は、脆弱性診断(システムの弱点を専門的に検査するサービス)を使うと客観的に現状を把握できます。
ステップ3:影響度と発生可能性で優先順位をつける
最後に、「起きたときの影響の大きさ」と「起こりやすさ」の2軸で評価し、対応の順番を決めます。判断の目安は次の表のとおりです。
| 発生可能性\影響度 | 影響が大きい | 影響が小さい |
|---|---|---|
| 起こりやすい | 最優先で対策(例:脆弱性の放置、不正ログイン) | 運用ルールの整備で低減 |
| 起こりにくい | 検知と復旧の体制を整備(例:ランサム攻撃) | 記録し、定期的に見直す |
評価結果は一覧にして経営層と共有します。リスクの大きさを言葉と数値で示すことが、予算確保の近道になります。
優先すべきセキュリティリスク対策は?
優先すべきは、クレジット取引セキュリティ対策協議会の「クレジットカード・セキュリティガイドライン」がEC加盟店に求める4つの対策です。同ガイドラインは2025年3月に【6.0版】へ改訂され、2026年3月には各事業者の理解促進を目的とした【6.1版】が公表されています。
| 対策 | 主な内容 | 低減できるリスク |
|---|---|---|
| 脆弱性対策 | システム・プラグインの更新、脆弱性診断の定期実施 | 不正アクセス、Webスキミング |
| カード情報の非保持化またはPCI DSS(カード業界の国際的なセキュリティ基準)準拠 | 自社でカード情報を保存・処理・通過させない構成にする | カード情報の漏えい |
| 不正ログイン対策 | 多要素認証、ログイン試行回数の制限、パスワードポリシーの見直し | パスワードリスト攻撃、なりすまし |
| EMV 3-Dセキュアの導入 | 決済時にリスクに応じた本人認証を行う | 不正注文、チャージバック |
EMV 3-Dセキュアとは、決済時の取引情報からリスクを判定し、必要な場合のみ追加認証を求める本人認証の仕組みです。同ガイドラインでは、2025年3月末までに原則としてすべてのEC加盟店へ導入することが求められています。
あわせて、WAF(Webアプリケーションへの攻撃を検知・遮断する仕組み)の導入や、管理画面のアクセス制限、権限の最小化、ログの保全といった運用面の対策も欠かせません(ECサイトのセキュリティ対策をまとめた完全ガイド)。
リスクを構造的に下げるプラットフォームの選び方は?
リスクを継続的に抑えるには、「更新され続ける仕組み」を持つプラットフォームを選ぶことが有効です。日々公表される脆弱性に、担当者の努力だけで追随し続けるのは現実的に困難だからです。
更新の負担を誰が担うかを確認する
更新が止まった瞬間からリスクは増え続けるため、保守を自社が担うのかサービス提供側が担うのかは、選定時に必ず確認したいポイントです。「GMOクラウドEC」は、EC本体の機能とセキュリティが自動でアップデートされるクラウド型のECプラットフォームです。システムの老朽化・陳腐化が起こりにくく、法令改正への対応もサービス側で実施されます。
体制と拡張性まで含めて見極める
セキュリティは仕組みだけでなく、運営体制にも差が出ます。「GMOクラウドEC」はISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得済みで、WAFの運用を含む体制を整え、問い合わせ窓口は24時間365日受け付けています。
またヘッドレスコマース(フロントエンドとバックエンドを分離する設計)を採用しており、基幹システムやCRM、物流システムとAPI連携しながら、フロント側を柔軟に構築できます。要件定義から専任のプロジェクトマネージャー(PM)が伴走するため、リスク評価を踏まえた要件整理の段階から相談できる点も特長です。
よくある質問
小規模なECサイトでもセキュリティリスクはありますか?
あります。多くの攻撃は規模を選ばず、脆弱性のあるサイトを機械的に探索して侵入するためです。むしろ体制が手薄なサイトほど侵入されやすく、被害の発覚も遅れがちです。
カード情報を自社で保持していなければ安全ですか?
非保持化はリスクを大きく下げますが、それだけでは十分ではありません。入力中の情報を盗むWebスキミングや、会員情報の漏えい、不正ログインは防げないためです。脆弱性対策と不正ログイン対策を併せて実施してください。
セキュリティ対策の費用はどのくらいかかりますか?
構成や規模によって大きく変わるため一概には言えませんが、判断の目安は「事故が起きたときの損害額と比較する」ことです。調査費用や停止期間の売上機会損失、信用回復にかかるコストを見積もると、投資額の妥当性を判断しやすくなります。
情報漏えいが疑われたら、まず何をすべきですか?
まず被害拡大の防止(該当機能の停止や切り離し)と、ログなど事実関係の保全を行います。並行して、個人情報保護委員会への報告と本人への通知の要否を確認します。速報は概ね3〜5日以内が目安のため、連絡体制と役割分担を平時から決めておきましょう。
まとめ
ECサイトのセキュリティリスクは、「外部からの攻撃」「なりすまし・不正利用」「内部不正・委託先」の3系統で捉えると全体像を整理できます。2025年のクレジットカード不正利用被害額は510.5億円、上場企業の個人情報漏えい・紛失事故は180件と、リスクは依然として高い水準にあります。
まずは情報資産を棚卸しし、影響度と発生可能性で優先順位をつけたうえで、ガイドラインが求める4つの対策から着手しましょう。そのうえで、更新され続けるプラットフォームを選ぶことが、長期的にリスクを抑える近道です。自社のリスク評価やシステム移行の進め方でお悩みの場合は、「GMOクラウドEC」へのご相談・資料請求はこちらからお気軽にお問い合わせください。









