- 最終更新日: 2025.10.20
- 公開日:2023.02.28
【2025年最新版】ECサイト開発・構築の5つの方法|エンタープライズ向け比較と失敗しない開発会社の選び方

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「現行のECシステムが老朽化し、マーケティング施策の足かせになっている」
「基幹システムとのデータ連携がうまくいかず、手作業での運用に限界を感じている」
「事業の成長に、ECプラットフォームの性能が追いついていない」
エンタープライズ企業のEC担当者様が抱えるこうした課題を解決するには、自社の事業戦略に最適なECサイトの開発手法を選ぶことが不可欠です。
現在、ECサイトの開発・構築には主に5つの方法があります。
- カートASP
- オープンソース
- ECパッケージ
- クラウドEC
- フルスクラッチ
本記事では、これら5つの開発手法を徹底比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。さらに、貴社の成功を長期的にサポートする開発パートナーの選び方まで、具体的かつ実践的なステップでご紹介します。
目次
ECサイト開発の5手法を徹底比較|最適な選択肢を見つけるために
まず、5つの開発手法が「初期費用」「拡張性」「セキュリティ」といった観点でどう違うのか、全体像を把握しましょう。エンタープライズECで特に重要となるシステム連携とセキュリティ準拠の観点も加えて比較します。
※以下の費用・期間は一般的な目安であり、プロジェクトの要件や規模によって大きく変動します。
| 開発手法 | 初期費用 | 月額費用 | 開発期間 | 拡張性 (API連携) | システム連携 (ERP/CRM等) | セキュリティ (PCI DSS準拠) | 
|---|---|---|---|---|---|---|
| カートASP | 10万円~ | 数万円~ | 最短1週間 | △ | △ | ○ (サービス依存) | 
| オープンソース | 100万円~ | 数十万円~ | 3ヶ月~ | ○ | ○ | △ (自社対応) | 
| ECパッケージ | 500万円~ | 数十万円~ | 3ヶ月~ | ○ | ○ | △ (自社対応) | 
| クラウドEC | 500万円~ | 数十万円~ | 3ヶ月~ | ◎ | ◎ | ◎ (サービス依存) | 
| フルスクラッチ | 3,000万円~ | 数十万円~ | 6ヶ月~ | ◎ | ◎ | ○ (自社対応) | 
また、自社にとって最適な開発手法は、ECサイトの年商でおおむね区分されます。

一見複雑に見えますが、これらを「家づくり」に例えると、それぞれの違いが直感的に理解できます。一つずつ見ていきましょう。
各開発手法のメリット・デメリット

ここでは、5つの手法をより深く掘り下げて解説します。
1. カートASP|すぐに住める「賃貸マンション」
すぐにビジネスを開始できますが、内装や設備の変更はできません。
クラウド上の既製システムをレンタルする形態です。
- メリット: ECの基本機能が揃っており、専門知識が少なくても短期間・低コストで開店できます。システム管理も不要です。
- デメリット: カスタマイズ性が極めて低く、外部システム連携も困難なため、独自のサービス展開はできません。
- 総評: 事業の立ち上げフェーズには最適ですが、事業拡大を目指すエンタープライズ企業の基盤としては力不足です。
2. オープンソース|自分でリノベーションできる「中古物件」
自由に改装できますが、建物の維持管理や防犯対策はすべて自己責任です。
ソースコードが無償公開されているソフトウェアを利用して構築します。
- メリット: ライセンス費用が不要で、ソースコードを直接編集できるためカスタマイズの自由度は非常に高いです。
- デメリット: セキュリティ対策やサーバー管理、障害対応のすべてが自社の責任範囲となり、高度な技術力と運用体制が必須です。
- 総評: 技術力のある企業にとっては魅力的な選択肢ですが、セキュリティリスクと運用負荷が常に伴います。
3. ECパッケージ|設備が充実した「建売一戸建て」
購入時は最新ですが、年月と共に設備は古くなり、リフォームには多額の費用がかかります。
ECに必要な機能群を製品として購入し、自社サーバーに導入します。
- メリット: 機能が豊富に搭載されており、ベンダーに依頼すれば独自のカスタマイズも可能です。
- デメリット: システムの陳腐化が避けられず、数年ごとの大規模なバージョンアップに高額なコストが発生します。
- 総評: かつては主流でしたが、システムの硬直性と維持コストの高さから、近年はクラウドECへのリプレイスが進んでいます。
4. クラウドEC|プロが管理する土地に建てる「最新の注文住宅」
常に最新のインフラとセキュリティが提供される土地の上で、自社の要望に合わせた自由な設計が可能です。
クラウド基盤と高いカスタマイズ性を両立させた現代的なサービスです。
- メリット: システムが自動で最新の状態に保たれ、セキュリティも万全です。API連携によって外部システムとの連携も柔軟に行えます。
- デメリット: フルスクラッチほどの完全な自由度はなく、月額費用が発生します。
- 総評: 柔軟性・拡張性・安全性を高いレベルで両立しており、現在のエンタープライズECにおける最も有力な選択肢です。
【最新トレンド】ヘッドレスコマース
クラウドECの中でも、近年「ヘッドレスコマース」が注目されています。これは、サイトの見た目(フロントエンド)と裏側の仕組み(バックエンド)を分離する技術です。Webサイトやスマホアプリなど、様々な顧客接点ごとに最適なデザインをスピーディーに提供でき、より高度な顧客体験を実現します。
5. フルスクラッチ|土地探しから始める「完全オーダーメイドの邸宅」
建築家と共に、世界に一つだけの家をゼロから建てますが、莫大な費用と時間、そして完成後の維持管理体制が必要です。
既存のシステムを一切使わず、完全にオリジナルで開発します。
- メリット: 制約が一切なく、自社の業務フローやビジネスモデルに100%合致した、あらゆる機能を実現できます。
- デメリット: 開発費用が数千万~数億円と極めて高額で、期間も長期化します。維持・更新にも専門チームが必須です。
- 総評: 究極の自由度を誇りますが、投資規模もリスクも最大です。クラウドECでは実現不可能な、明確かつ特殊な要件がある場合にのみ検討すべき選択肢です。
失敗しないECプラットフォーム選定|3つの最重要ポイント

数ある選択肢の中から自社に最適な手法を選ぶには、事業の目的を明確にすることが不可欠です。特にエンタープライズ企業の場合、以下の3つのポイントは避けて通れません。
1. 事業の根幹を支える「基幹システム連携」
ECサイトは単体で動くものではありません。在庫・顧客・販売情報などを管理する社内の基幹システム(ERP、CRM等)とスムーズに連携できて初めて、業務効率化とデータ活用が実現します。API連携の柔軟性は、プラットフォーム選定における生命線です。
2. 未来の成長を描く「拡張性(スケーラビリティ)」
EC事業は日々成長し、変化します。大規模セール時のアクセス集中、将来の取扱商品数や会員数の増加、さらには新規事業や海外展開といったビジネスモデルの変化にも耐えうるインフラの柔軟性と機能追加の容易さは、中長期的な成功に不可欠です。
3. 企業の信頼を守る「高度なセキュリティ」
ECサイトは顧客の個人情報や決済情報を預かるため、セキュリティは企業の信頼そのものです。クレジットカード業界の国際基準「PCI DSS」への準拠や、不正アクセスを防ぐ「WAF」の実装など、自社で対応すべき範囲とプラットフォーム側で担保される範囲を明確に確認しましょう。
最高の伴走者を見つける|開発パートナー選定 5つのステップ

最適な開発手法が決まったら、次はそれを形にしてくれる開発会社、つまり事業を成功に導く「パートナー」を選びます。以下のステップで慎重に進めましょう。
STEP1: 「RFP(提案依頼書)」で自社の想いを言語化する
まず、プロジェクトの目的、課題、必要な機能などをまとめた「RFP(提案依頼書)」を作成します。RFPは、ベンダーから質の高い提案を引き出すための羅針盤であると同時に、自社の要求を整理する絶好の機会にもなります。
STEP2: 「実績」の量と質を見極める
自社と同じ業界や事業規模のECサイト構築実績が豊富かを確認しましょう。特に、成功事例だけでなく、困難な課題をどう乗り越えたかといった経験談に耳を傾けることで、パートナーの真の実力が見えてきます。
STEP3: 「対話」を通じてサポート体制を評価する
ECサイトは完成してからが本当のスタートです。運用後の改善提案や、万が一の障害発生時に、迅速かつ的確に対応してくれる体制かを見極めましょう。契約内容の確認だけでなく、担当者との円滑なコミュニケーションが取れるかも重要な評価軸です。
STEP4: 「企業の安定性」という土台を確認する
ECプラットフォームは事業の資産を預ける場所です。長期的なパートナーとして安心して事業を任せられるか、企業の財務基盤や安定性もしっかり確認しましょう。
STEP5: 「最終チェックリスト」で多角的に判断する
最終候補が数社に絞れたら、以下のリストで評価し、総合的に判断を下します。
- [ ] RFPに対する提案は、課題の本質を捉えているか?
- [ ] デメリットやリスクについても正直に説明してくれるか?
- [ ] プロジェクトの進行管理体制は信頼できるか?
- [ ] 担当者との相性やコミュニケーションは円滑か?
- [ ] このパートナーとなら、事業の成功を共に喜び合えそうか?
【要確認】ECサイトのリプレイスで押さえるべき注意点

既存システムからの乗り換え(リプレイス)を検討している場合は、パートナー選定と並行して以下の準備を進めることが成功の鍵となります。
- データ移行計画: 商品・受注・会員といった膨大なデータを、誰が・いつ・どのように移行するのか、綿密な計画を立てましょう。
- 既存顧客への周知: ログイン方法の変更など、顧客に影響が及ぶ点については、混乱を招かないよう複数回にわたり丁寧に告知します。
- SEO評価の引き継ぎ: サイトのURL構造が変わる場合は、検索エンジンからの評価を失わないよう、301リダイレクトなどの適切なSEO対策が必須です。
まとめ
エンタープライズECの成功は、適切な「開発手法」と、信頼できる「パートナー」との出会いにかかっています。
- まず自社の目的と将来像を明確にし、3つの重要ポイント(システム連携、拡張性、セキュリティ)を軸に開発手法を絞り込む。
- 次にRFPを用意し、実績とサポート体制の優れたパートナーを慎重に選ぶ。
ECサイトは一度構築すると簡単には変更できません。数年後、十年後の事業成長まで見据え、貴社にとってベストな選択をしてください。
自社EC構築の選択肢|GMOインターネットグループのサービス
【エンタープライズ向け】GMOクラウドEC
「GMOクラウドEC」は、ECパッケージのカスタマイズ性とクラウドのメリットを両立したECプラットフォームです。機能追加や外部システム連携の自由度が非常に高く、エンタープライズの複雑な要件にも柔軟に対応。常に最新・安全なシステム基盤の上で、理想のECサイトを構築可能です。













 
                                              