- 最終更新日: 2021.03.26
- 公開日:2021.03.19
ネットスーパーの始め方|EC構築3モデルの比較と成功へのポイントを解説

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今や、スーパーマーケット事業の成長にオンライン展開は欠かせません。消費者の購買スタイルが多様化する中で、「ネットスーパー」はもはや特別な選択肢ではなく、顧客の期待に応え、事業を成長させるための不可欠な戦略となっています。
「ネットスーパー事業に関心はあるが、何から手をつければいいのだろう?」
「自社に合ったECの構築方法と、事業を成功させる秘訣が知りたい」
この記事は、そんな事業者様のための「事業立ち上げの完全ガイド」です。市場の最新動向から、事業規模に合わせたEC構築モデルの徹底比較、そして持続的に成長するための運営戦略まで、専門家の視点で網羅的に解説します。
目次
なぜ今「ネットスーパー」なのか?市場の現状と将来性
コロナ禍の「巣ごもり需要」を追い風に急成長したネットスーパー市場は、アフターコロナの現在もその成長が続いています。その背景には、現代の社会構造と消費者心理の変化が深く関わっています。
| ライフスタイルの変化: 共働き世帯や高齢者世帯の増加に伴い、買い物時間の節約や重い荷物を運ぶ負担を軽減したいというニーズは、一過性のものではなく、社会の基本ニーズとして定着しました。 |
| 消費行動の変化: 物価高騰を背景に、実店舗での衝動買いを避け、必要なものだけを計画的に購入する「賢い消費」が主流になりつつあります。ネットスーパーは、この計画購買のスタイルに最適なツールです。 |
| サービスの進化: 即時配達の「クイックコマース」との連携や、通勤帰りに受け取れる店舗ピックアップ、宅配ロッカーなど、多様化するライフスタイルに合わせた受け取り方法が充実し、利便性は飛躍的に向上しています。 |
食品分野のEC化率は、他の商品カテゴリに比べてまだ低い水準にあります。これは裏を返せば「巨大な成長の余地」があることを意味し、今から正しい戦略で参入すれば、市場での確固たる地位を築くチャンスは十分にあります。
事業に合うのはどれ?EC構築3モデルを徹底比較
ネットスーパーの立ち上げ方は一つではありません。自社の規模、投資体力、そして目指す事業展開に合わせて最適なモデルを選ぶことが、成功への最短ルートです。ここでは3つの主要モデルを比較検討します。
① 店舗出荷型(ピッキング型)モデル
既存店舗を物流拠点とし、スタッフがお客様の注文に応じて店内から商品を集めて(ピッキングして)配送する、最もスモールスタートに適したモデルです。
② センター出荷型(倉庫型)モデル
ネットスーパー専用の物流センター(ダークストア)を構え、ECに最適化された在庫管理と出荷体制を構築する、大規模展開を視野に入れたモデルです。
③ プラットフォーム活用モデル
自社でECサイトをゼロから構築せず、巨大プラットフォームの集客力やシステム、配送網を活用するモデルです。活用するプラットフォームの特性によって、大きく2つのタイプに分けられます。
A) ECモール出店型
Amazonや楽天のような巨大ECモールに出店し、その集客力とシステムを活用してネットスーパーを展開します。
B) デリバリー連携型
Woltや出前館、Uber Eatsといったフードデリバリーのプラットフォームと連携し、店舗からの商品配達を委託するモデルです。主に即時性(クイックコマース)を求める顧客層にアプローチします。
| ① 店舗出荷型 | ② センター出荷型 | ③ プラットフォーム活用型 | |
|---|---|---|---|
| 初期コスト | 低い | 非常に高い | 低い~中程度 |
| 運営コスト | 人件費が中心 | 設備維持費、人件費 | 販売・配送手数料 |
| 開始スピード | 速い | 遅い | 速い |
| 運営の自由度 | 高い | 非常に高い | 低い(規約に依存) |
| 向いている事業者 | 中小スーパー、地域密着店 | 大手小売チェーン | ECノウハウがない事業者 |
快適な買い物体験を実現する5つの必須EC機能

どのモデルを選ぶにせよ、お客様が快適に買い物できるECサイトの機能は共通して重要です。次は、その心臓部とも言えるシステムについて見ていきましょう。
1. 商品管理機能
生鮮・冷凍・常温といった「温度帯」の管理はもちろん、日替わり特売やタイムセールなど、実店舗と連動した柔軟な価格設定ができる機能が求められます。
2. 在庫管理機能
特に店舗出荷型では、実店舗の在庫とECの在庫をリアルタイムで同期させる仕組みが生命線です。「注文したのに品切れだった」という事態は、顧客満足度を著しく低下させる原因となります。
3. 注文管理機能
お客様がライフスタイルに合わせて受け取り日時を細かく指定できる機能は必須です。加えて、「13時までの注文で当日配送」といった締め時間の設定や、エリア別の送料自動計算など、複雑な配送条件への対応も必要です。
4. 顧客管理機能(CRM)
単なる「買い物サイト」で終わらせないために、購入履歴に基づいたおすすめ商品の提案(レコメンド)や、優良顧客への限定クーポン配布など、顧客との継続的な関係を築き、ファン化を促進します。
5. 決済機能
クレジットカードはもちろん、PayPayなどのID決済、後払い、代金引換など、決済方法の選択肢を広げることで、お客様が購入の最終段階で離脱するのを防ぎます。
持続的に成長するための3つの成功戦略

優れたECサイトは、あくまでスタートラインです。本当の競争は、開店してから始まります。
戦略1:質の高い「顧客体験(UX)」を設計する
「商品の探しやすさ」「新鮮な商品が届く安心感」「時間通りの正確な配送」。これら一つひとつの体験が、お客様の満足度と信頼を築きます。サイトの使いやすさから、商品の梱包、配送スタッフの接客態度まで、顧客と接する全てのプロセスを「最高の体験」にするという視点を持ちましょう。
戦略2:利益を生む「物流」を構築する
ネットスーパー事業の成否を分ける最大の要因が「物流コスト」です。送料無料は魅力的ですが、利益を圧迫します。配送エリアを戦略的に絞る、採算が取れる最低注文金額を設定する、店舗受け取り(BOPIS)という選択肢を用意するなど、顧客の利便性と収益性のバランスを見極める賢い戦略が事業の収益性を左右します。
戦略3:「デジタルマーケティング」で顧客を育てる
Web広告やSNS、地域の方向けのチラシで新規顧客を獲得した後は、リピート顧客(ファン)へと育てる仕組みが不可欠です。LINE公式アカウントやメールマガジンで定期的にコミュニケーションを取り、お客様にとって「忘れられない存在」であり続けることが、安定した事業基盤を築きます。
まとめ:自社に最適なモデルを見極め、確かな一歩を踏み出そう

本記事では、ネットスーパー事業の始め方について、市場の可能性から具体的なEC構築モデル、そして事業を成功させるための戦略までを解説しました。
重要なのは、いきなり完璧を目指すのではなく、自社の強みと事業規模に合ったモデルを選択し、まずは一歩を踏み出すことです。そして、お客様の声に耳を傾けながらサービスを改善し続ける。その先に、地域のお客様に選ばれ、持続的に成長する事業の姿が見えてくるはずです。
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