- 最終更新日: 2025.11.05
- 公開日:2023.02.27
【2025最新】ECサイトの売り上げを上げるには?基本施策とその手法の紹介

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ECサイトの売上をいかにして上げるか。これは、エンタープライズ規模でECを運営する担当者様にとって、常に最重要の課題です。市場の競争が激化し、顧客の購買行動が多様化する現代において、小手先の施策だけでは持続的な成長は望めません。
この記事では、ECサイトの売上を向上させるための基本的な考え方から、2025年最新のトレンドを踏まえた具体的な施策、さらにはエンタープライズ企業が押さえるべき分析手法まで、網羅的に解説します。
目次
ECサイトの売上を構成する「4つの基本要素」

ECサイトの売上は、主に以下の4つの要素の掛け算で構成されます。
売上 = 集客数 × CVR(購入率) × 客単価 × リピート率
売上を上げるには、この4つの要素のうち、どれが自社のボトルネックになっているかを特定し、優先順位をつけて改善していくことが不可欠です。
1. 集客(サイトへの訪問者を増やす)
集客施策とは、自社のECサイトへまだ訪問したことのない、あるいは訪問頻度の低い潜在顧客や新規顧客を呼び込むための施策です。特に自社ECサイトの場合、ECモールとは異なり、外部チャネルからの流入を能動的に生み出す必要があります。
2. CVR(購入率を高める)
CVR(コンバージョン率)改善施策とは、サイトを訪れたユーザーのうち、実際に商品を購入するユーザーの割合を高める施策です。流入数が同じでも、CVRが2倍になれば売上は2倍になります。一定の集客がある大規模サイトほど、CVRの改善は売上インパクトが大きくなります。
3. 客単価(1人あたりの購入金額を上げる)
客単価向上施策とは、顧客1人あたりの購入金額を引き上げる施策です。集客数やCVRが伸び悩んでいる場合でも、客単価を向上させることで売上目標の達成に貢献できます。「あともう1品」を促すアップセルやクロスセルが代表的な手法です。
4. リピート(再購入を促す)
リピート施策とは、一度購入した顧客に再度購入してもらう(リピーター化してもらう)ための施策です。一般的に、新規顧客の獲得コスト(CAC)は、既存顧客の維持コストよりも5倍高い(1:5の法則)といわれています。リピーターの比率を高めることは、売上の安定化とLTV(顧客生涯価値)の最大化に直結します。
【要素別】売上を上げる具体的な施策と手法

SEO対策
SEO対策は、Googleなどの検索エンジンで上位表示を目指す、中長期的な資産となる施策です。
特にエンタープライズ規模のECサイトでは、商品点数が膨大になるため、個別の商品ページだけでなく、カテゴリページの最適化や、サイト全体のクロール効率を管理する「テクニカルSEO」が極めて重要になります。また、多言語展開している場合は、hreflangタグによる言語・地域設定も必須です。
ECサイトにおけるSEO対策についてはこちらの記事をどうぞ↓
広告出稿
Web広告は、短期的に流入を増加させたい場合に有効な施策です。
- リスティング広告: 検索キーワードに連動する広告。
- ディスプレイ広告: Webサイトの広告枠に表示される画像・動画広告。
- アフィリエイト広告: 成果報酬型で、メディアやブロガーに商品を紹介してもらう広告。
- SNS広告: Instagram、X(旧Twitter)、Facebookなどでターゲットを絞って配信する広告。
商材やターゲット層に応じて、費用対効果(ROAS)を見ながら最適な広告媒体を選定・運用します。
SNS活用
近年、SNSは単なる情報発信の場ではなく、顧客とのコミュニケーションやファンコミュニティ形成の場として重要度を増しています。
ユーザーの共感を呼ぶ投稿がシェア(拡散)されれば、広告費をかけずに爆発的な露出増加も期待できます。
見やすいデザインと使い勝手の良いUI
CVR改善の基本は、ユーザーが快適に操作できるサイトを作ることです。
全体のレイアウト、配色、画像のバランスが「見やすいデザイン」を構成します。
また、UI(ユーザーインターフェース)の観点から、テキストフォントは適切か、購入ボタンの位置は分かりやすいかなど、ユーザーの操作性を一つひとつ検証し、ストレスのない購買体験(UX)を提供することが重要です。
購入時の不安の払拭(信頼性)
ECサイトでは、ユーザーは「このサイトで買って大丈夫か」という不安を少なからず抱えています。
会社概要、特定商取引法に基づく表記はもちろん、プライバシーポリシー、返品・キャンセルへの対応などを明確に記載し、サイトの信頼性を担保しましょう。
商品情報は詳細に掲載
実店舗と違い、商品を手に取れないECサイトでは、情報量が購入の決め手となります。
サイズや寸法、素材といった基本情報はもちろん、さまざまな角度から撮影した鮮明な商品画像、利用シーンがイメージできる動画などを掲載し、ユーザーが知りたい情報を網羅しましょう。
コミュニケーションツールの導入
実店舗のスタッフに相談するように、購入前の疑問や不安を解消する仕組みも有効です。対人チャットやAIチャットボットを導入し、リアルタイムで顧客の疑問に答えることで、離脱(カゴ落ち)を防ぎます。
Web接客とA/Bテスト
エンタープライズ規模のサイトでは、Web接客ツールの導入が効果的です。顧客の訪問回数や閲覧履歴、CRMデータなどに基づき、パーソナライズされたクーポンやおすすめ情報をポップアップ表示することで、CVR向上を図ります。
また、ボタンの色やキャッチコピーなどを複数パターン試す「A/Bテスト」を継続的に行い、サイトをデータに基づいて最適化していくことが重要です。
アップセル・クロスセルの導線設計
- アップセル: 検討中の商品より高価格な上位モデルを推奨すること。(例:標準モデル→Proモデル)
- クロスセル: 検討中の商品と関連する別商品を推奨すること。(例:カメラ→メモリーカード)
カートページや購入完了ページで、これらの商品を「ご一緒にいかがですか」「この商品を買った人はこちらも見ています」と表示する導線が有効です。
レコメンドエンジンの活用
AIや機械学習を活用した「レコメンドエンジン」の導入は、客単価向上に強力な効果を発揮します。顧客の閲覧履歴や購買データ、他の顧客の行動パターンを分析し、一人ひとりに最適化された商品を自動で提案します。
セット販売・まとめ買い割引
「3点購入で10%OFF」といった「まとめ買い割引」や、「新生活応援セット」のような「セット販売」は、顧客にお得感を与えつつ、自然な形で買い上げ点数を増やすことができます。
MAによる顧客体験のパーソナライズ
MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用し、顧客の購買履歴や行動データに基づいてパーソナライズされたアプローチを行います。
「購入後のお礼メール」「関連商品の紹介」「カゴ落ち(カートに商品を入れたまま離脱)リマインド」「誕生月クーポン」など、適切なタイミングで適切な情報を届けるシナリオ配信が効果的です。
ロイヤリティプログラム(会員ランク制度)
エンタープライズ企業において、LTVの最大化は重要戦略です。購入金額や頻度に応じて「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」といった会員ランクを設定し、ランクに応じた特典(ポイント還元率アップ、限定セール招待など)を提供することで、顧客のロイヤリティ(愛着・忠誠心)を高めます。
リマーケティング広告
一度サイトを訪れた、あるいは購入したユーザーに対し、再度広告を表示する手法です。Cookie情報に基づき、関連商品やセールの情報を配信することで、再訪問・再購入を促します。CVRが高い傾向にある効率的な広告手法です。
ECサイトの分析は売上アップに必須

施策を実行するだけでなく、データを分析し、仮説検証(PDCA)を回すことが売上アップの鍵となります。
人気の売れ筋商品を見つける
まず、どの商品がなぜ売れているのかを把握します。価格、レビュー数、デザインなど、人気の要因を特定し、その「勝ちパターン」を他の商品展開やプロモーションに活かします。
離脱率の高い原因を探る
ヒートマップツールやアクセス解析で、ユーザーがどのページで離脱しているか(例:カート投入後、決済画面など)を特定します。商品が見つけにくい、送料が高い、入力フォームが面倒など、離脱原因の仮説を立て、改善を繰り返します。
ユーザー属性を特定する
自社の顧客がどのような層(年齢、性別、居住地、趣味嗜好など)なのかを分析します。ペルソナを明確にすることで、商品の企画や広告ターゲティングの精度が向上します。
競合サイトを分析する
自社サイトだけでなく、競合他社がどのような商品展開、導線設計、プロモーションを行っているかを定期的に分析します。「なぜあのサイトは売れているのか」という視点で研究することで、自社に足りない要素を発見できます。
BIツールと顧客データ分析(RFM分析)
エンタープライズ規模では、ECデータ、基幹システム(ERP)の在庫データ、CRMの顧客データを連携させる必要があります。BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入し、これらのデータを統合・可視化することで、より高度な経営判断が可能になります。
また、顧客分析の手法として「RFM分析」(Recency:最終購入日、Frequency:購入頻度、Monetary:購入金額)を用い、優良顧客や離反予備軍を特定し、それぞれに合った施策を打つことも重要です。
【2025年】エンタープライズECが注目すべき最新トレンド

普遍的な施策に加え、2025年現在、特に注目すべき最新トレンドを押さえることが競争優位につながります。
AI・生成AIの活用
AIの活用は、EC運営のあらゆる側面に変革をもたらしています。
高度なAIレコメンドによる客単価向上はもちろん、生成AIを活用した「商品説明文の自動生成」や「顧客からの問い合わせに対する一次回答の自動化」など、業務効率化の面でも導入が進んでいます。
OMO(Online Merges with Offline)戦略
実店舗を持つエンタープライズ企業にとって、オンライン(EC)とオフライン(実店舗)を融合させるOMO戦略は必須です。
「ECで購入し、店舗で受け取る」「店舗の在庫をECサイトで確認できる」「店舗とECの顧客ID・ポイントを統合する」といったシームレスな購買体験を提供することで、顧客満足度とLTVを最大化します。
プライバシー保護とデータ活用の両立
Google ChromeにおけるサードパーティCookieの完全廃止計画は、2024年に事実上、撤回または無期限延期となりました。しかし、SafariやFirefoxなど他のブラウザではすでに規制が先行しています。
世界的なプライバシー保護意識の高まりは変わらないため、Cookieに過度に依存した従来のリターゲティング広告などの手法は、ブラウザの動向や法規制の変化に対応するため、常に見直していく必要があります。
今後は、顧客が自ら進んで提供してくれる情報(アンケート回答、お気に入り登録、好みなど)である「ゼロパーティデータ」や、自社で収集する「ファーストパーティデータ」をいかに収集・活用し、顧客と直接的な信頼関係を築くかが、マーケティングの鍵となります。
リソースやノウハウが足りない場合にはアウトソーシング
ここまで多岐にわたる施策を紹介しましたが、エンタープライズECの運営は複雑であり、すべてを社内リソースで賄うのが難しい場合もあります。SEO、広告運用、データ分析、システム連携など、専門的なノウハウやリソースが不足している場合は、運用代行(アウトソーシング)も有効な選択肢です。
EC運営に必要なすべての業務に対応するアウトソーシング
成果報酬型で、ECの売上を上げるために必要な作業をネットショップのプロに代行してもらえます。
SEO対策やECサイトの改善、広告の効率化といったマーケティング、サイトのデザインや「ささげ業務(撮影・採寸・原稿作成)」の代行といったブランディング、市場・競合調査から販売戦略の立案を行うコンサルティングまで、ネットショップ運営に関わる全ての業務を代行しています。
必要な業務のみの委託も可能であり、GMOメイクショップの製品(makeshop by GMO、GMOクラウドEC)を利用していないショップでも委託が可能です。
リソース不足で施策の実行が困難な場合や、ノウハウ不足で期待する効果が得られない場合は、運用代行の検討をおすすめします。
まとめ
ECサイトの売上を上げるには、「集客」「CVR」「客単価」「リピート」の4つの要素をバランスよく伸ばす必要があります。
まずは自社の課題をデータ分析によって特定し、優先順位をつけて施策を実行することが重要です。
また、AIやOMOといった最新トレンドも積極的に取り入れつつ、必要に応じて外部の専門家の力も借りながら、戦略的にECサイト運営に取り組んでいきましょう。











