2020.04.03

【EC座談会2020】#7 フルファネル戦略 データ活用・CRM施策 前編

【EC座談会2020】#7 フルファネル戦略 データ活用・CRM施策 前編

大手食品メーカーD2C新規事業開発の責任者と、コスメD2C事業の経営者の2名の相談者を交えて【EC座談会2020】を実施しました。今回は7回目の連載となります。

CRMのシナリオ実行に必要なデータ


ファシリテーター尺田(以下、尺田)
前回では、新規顧客の獲得のための広告運用などについての課題と解決策について話し合ってまいりました。今回は、顧客になってからのフェーズ、顧客維持と離反防止についてお話しを進めていきましょう。

相談者田中部長(以下、田中)
新規顧客の獲得については、まだ実感が湧きませんが、大変なことであるのが理解できました。ところで、顧客になって頂いてからのリピート率を上げるのは、新規獲得に比べて簡単なのでしょうか。
私自身が通販ユーザーとしての立場でいうと、通販会社から送られてくるメールはほとんど見たこともありません。施策はメールを配信することしかないのでしょうか。

アドバイザー滝沢(以下、滝沢)
弊社の現状は、シナリオメールでのコミュニケーションがメインですね。メール開封率はカスタマーセグメント別にみても、又、他社と比較しても高くは無いです。
それでも、ここに課題と可能性があると感じています。顧客とのコミュニケーションを充実することで、クロスセルなどの効果を実感できるので、施策を進化し続けたいと考えています。

一方で、CRM施策にどのような効果があるのかについては、新規顧客獲得のKPIのように具体的に見えづらいので、新規顧客の獲得よりはコストが掛かってはいないように見えてしまいます。しかし実際には、1つ1つの施策コストがそれなりに発生していますので、注意が必要ですね。

アドバイザー吉村(以下、吉村)
「CRMとは何か」をしっかりと自社で定義されると良いと思います。非常に広範囲で曖昧になりがちです。フルファネルでは、顧客としておつきあいが始まってからのコミュニケーションと位置付けられます。

CRM施策についてはみなさん大変苦労されていると思います。
「新規顧客→離脱防止→既存顧客のロイヤルカスタマー化」の視点が、経営的、マーケティング的、現場運用的にも、直観的にわかりやすくKPI管理もし易いです。
それを、「既存顧客のロイヤルカスタマー化(これは、離脱防止でもあるとの捉え方もありますが)→離反顧客の復活→新規顧客」の軸から見直すと様々な顧客体験が見えてくるかと思います。

おさらいも兼ねて、ECシステムからCRM施策に必要なデータは
顧客管理機能では
・顧客マスター
・顧客マスター変更履歴

受注管理機能では
・受注データ、受注明細
・出荷履歴
・返品履歴
・定期契約ヘッダ(マスター)、定期契約明細
→これは、データ保有の仕方がシステムにより異なるので、システム移行などには注意が必要です。
・請求履歴
・入金履歴
・督促履歴

コミュニケーション管理機能では
・媒体マスター
・オファー履歴
・コミュニケーション履歴(メール・メッセージ・DM発送・同梱など)

システムの対応有無によりますが、
・ポイント履歴
・カタログなどの請求履歴
・2ステップなどでのサンプル請求履歴

商品管理機能では
・商品マスター
→どのようなカテゴリーと項目で、登録、保有しているかによって、連携データから導きだされるデータに差異が出ますのでご注意ください。

尺田
CRMのシナリオ実行に必要なデータを、ECシステム側からどれだけ取得できるかということですね。ECシステム側の機能では対応しきれないコミュニケーション機能ですので、いずれかの、MA(マーケティングオートメーション)ツールは必須です。

購買にまつわる集計・抽出にはECシステム、コミュニケーションにまつわる集計・抽出・分析にはMAツール、広告配信も含めて、顧客体験のフルファネルで、データ連携、集計・分析・抽出するにはBIツール、と使い分ける必要があります。

データ連携のためのKeyを何にするのかを検討する必要があります。また連携方法に関しても、API連携がベストですが、その他の選択肢も確認が必要です。

相談者児嶋社長(以下、児嶋):
連携するためのKeyは顧客管理機能のユニークIDで大丈夫でしょうか。その場合、SNSのIDとの連携・統合は、ECシステム側ではどうなるのでしょうか。

尺田
理想的には、外部システムと顧客情報を連携するためのKeyはECシステム側で顧客を管理しているアカウントコードというユニークIDを利用します。SNS連携に関しては、外部ソーシャルログインサービスと連携する、もしくはECシステムをID認証基盤としてアカウントコードとSNS-IDを紐付けて管理することも可能です。

定期購入施策について


滝沢
弊社では、マイページ機能を顧客に対して公開してはいません。他社の事例ですと、SNSやメール内のリンクをクリックした際に、その顧客向けのパーソナライズされたバナーなどのコンテンツがページに表示されていました。CRM視点からみたときには、これはとても嬉しい機能ですね。

また、海外の参考にしているD2Cサイト内でのWEB接客では、情報変更や、商品お届けの確認や、購入スキップなどが対話形式で出来ていました。フォームで実施するのと大差ないのですが、ボタンで選択サジェスチョンしてくれると格段に違います。すごく簡単に要望が実現できたように思えますね。

吉村
そうですね。マイページ機能はとても大切です。自分事として、UIを見つめ直して頂けばお分かりになるかと思います。顧客の要望が、ストレス無く実現できることは大変重要ですね。

定期購入もそもそもは、便利で、簡単で、顧客にとって価値がある購買体験だからこそ、販売形態として提供させていただいているのが本来の形です。
そしてEC事業者側にも運用面でのメリットがあるので、お得な価格での提供が可能だったり、感謝と顧客の笑顔のために、ささやかなプレゼントをお贈りしたり、双方にとってハッピーな関係が継続できるものです。

であれば、スキップや解約の手続きも、顧客にとって簡単で使いやすいものにすべきであることがわかって頂けると思います。
ただ、いろいろな施策を展開する上で、メニュー条件を管理側で設定できることは、ECシステム側の機能としては、重要なポイントですね。

児嶋
そう思ってはいるのですが、定期率や解約阻止率がKPIになってしまい、解約阻止するために、継続何回目かでプレゼントを同梱したり、定期購入回数に応じての実質の値引きをしたり、ポイントを導入しての囲い込みなどをついつい行ってしまいます。

サブスクリプションの勉強のために、アメリカのサービスを幾つか使ってみましたが、とても、顧客視点でオーダーは自由でした。スキップなどスケジュールに関連するものが、カレンダー表示画面からワンクリックで選択できました。変更や配送日の連絡も、メールだけではなく、MessengerやSMSを選択できたり、自分のカレンダーへ簡単に連携ができて、とてもフレンドリーでした。

次回も、引き続き既存顧客向けCRM施策について具体的に話し合います。

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    EC News編集部

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