• 最終更新日:2023.02.16
  • 公開日:2022.04.27

BOPISとは? 店舗受け取りサービスが注目されている理由

BOPISとは? 店舗受け取りサービスが注目されている理由
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BOPISはマーケティング用語で「Buy Online Pick-up In Store」の頭文字の略で「オンラインで買った商品を店頭で受け取ること」であり、いわゆる店舗受け取りサービスの事です。

ECサイト全盛のこの時勢において、自宅ではなく店舗で受け取るこのBOPISが何故注目されているのか、以下の記事で解説していきます。

【ECサイトで注文した商品を受け取る方法】

ECサイトで商品を注文した際に、ユーザーがそれを受け取る方法は様々あります。

①自宅で受け取る

商品を購入後、店舗が配送手配をして配送業者が自宅まで届けてくれます。配送料は商品個別にかかったり、購入金額の合計から割引が適用されたりとECサイト、及び商品を販売している店舗により異なります。

②コンビニエンスストアで受け取る

基本的には手数料なしで注文した商品を指定のコンビニエンスストアで受け取ることが可能です。コンビ二エンスストアで支払いすることも可能ですが、事前に支払いを完了していないと発送が開始されません。代引きの場合は手数料がかかります。

③宅配ボックスで受け取る

自宅または集合住宅に備え付けてある宅配ボックスに配送されます。自宅で受け取るのと同じですが、宅配ボックスが埋まっていた場合は再配達になります。

またこれとは別に「置き配」と呼ばれる、あらかじめ指定した場所に荷物を届けてもらうサービスもあります。

④宅配便ロッカーで受け取る

スーパーマーケットなどにある宅配便ロッカーで受け取ることができるサービスです。指定の宅配業者の配送であれば受け取ることが可能です。

⑤店舗で受け取る

商品を販売している店舗で注文したものを受け取ることが可能です。在庫が同一フランチャイズの他店舗にあった場合取り寄せをしてもらえます。いずれも送料や手数料を取られることはありません。

「配送サービス」というより「取り置きサービス」と呼ばれる場合もあります。

ECで購入後、店舗で受け取る

以上の⑤がBOPISです。オンラインで商品を注文して、それを実店舗で受け取る……「それって店で直接買うのと何が違うの?」と思われるかも知れません。

次の項でBOPISのメリットについて解説していきます。

 

【BOPISのメリット】

BOPISには事業者と消費者それぞれにメリットがあります。

事業者のメリット

①ECサイト事業者の中で差別化が出来る

ECサイトの販売により事業者は実店舗経営から解放されることがしばしばあり、それは逆に言えばEC事業においては実店舗の存在がコスト面での足かせになる場面を浮き彫りにします。ですがBOPISは実店舗や流通を持つ企業にとって、すでに行った投資をECの分野でも活かせる利点に変換できるといった特徴があります。

ユーザーは同じ商品を買う場合でも、受け取りの選択肢を多くもつことができるためBOPISを持つ事業者とそうでない事業者で差別化することが可能になります。

②受け取り商品以外の購入が期待できる

顧客が取り置き商品を受け取りに店舗に立ち寄ることで、それ以外の商品をついでに購入してもらうことを期待できます。

③消費者の細やかなニーズに対応できる

消費者の選択肢を増やしたり、店舗での省人化を実現することで顧客満足度を高めることができます。

④配送網を効率的に利用できる

①で解説したように実店舗の倉庫や配送網を利用することで一から配送するよりコストを低く顧客の元に届けることができます。

消費者のメリット

①送料がかからない

先述の通り、BOPISには消費者の送料負担がありません。取り寄せの場合も同様です

②在庫の確保ができる

店頭に在庫がある場合、ECサイトで在庫を確保してから受け取りに行くことが出来ます。もし店頭に在庫がない場合、取り寄せや入荷があったタイミングで商品を取り置きしてもらえます。

③自分のタイミングで商品を受け取れる

取り置きしてもらった商品は任意のタイミングで受け取りに行けます。その店や、近くの店に行く用事があるときについでに受け取れます。

④店舗で商品を探したり決済をしたりする手間を省ける

欲しい商品がある場合ECサイトで事前に商品の検索と購入を済ませておけば店頭ですぐに受け取ることが可能です。

特にコロナ化における新生活様式においては、時間帯や在庫の柔軟性が人と合うリスクを減らしつつ、店舗での買い物を実現するこの方式がフィットしていたと言えるでしょう。

⑤返品が簡単

商品の返品や交換が必要になった時にすぐに対応してもらえます。これは自宅で受け取る時に比べてはるかに容易です。

【BOPISの導入事例】

ワークマン

ワークマン

ワークマンはテレビCMなどでも有名な作業服の専門店です。

2022年現在全国で800店舗以上を構えており、2020年には大手ECサイトでの販売から撤退し、すべての商品を自社ECでの販売に切り替えています。

それまでもネット通販が強かったワークマンですが、BOPISの導入からネット通販の67%がBOPISによってもたらされています。

さらに、2022年から5年以内には宅配を全撤廃し、店頭受け取りのみの一本化を方針として発表しており、配送コストの大幅な削減が見込まれます。

コロナ下における消費者は店舗決済、ネット決済、自宅受け取り、店舗受け取りを様々なニーズに応じて使い分けます。どれか一つだと不便だと言われるような時代に、BOPISへ注力することで大手ECモールからの脱却するという強い戦略をとることが可能である‐‐それこそがワークマンの事例の最も重要な一面であると言えるでしょう。

 

カインズ

カインズ

カインズはホームセンター大手であり、1994年のカインズスーパーモール伊勢崎店を皮切りに大型店舗の展開にも力を入れています。

そんなカインズが運営するBOPISサービスが「カインズピックアップ」であり、専用のアプリから注文することで店頭受け取りや、商品確認後に店頭で決済することが可能です。店内受け取り専用ロッカー「PickUp ロッカー」店舗も拡大中であり、BOPISサービスの充実を図っています。

スシロー

スシロー

スシローはネット注文や電話、FAXなどで受け付けた商品を「自動土産ロッカー」で受け取れるサービスを展開しています。事前のネット決済や店舗での半自動決済も可能で、コロナ下において省人化した商品受け取りを実現しています。待たずに買えること、生鮮食品を新鮮なまま持ち帰ることが可能なBOPISサービスです。

 

ケンタッキー・フライド・チキン

ケンタッキー

日本ケンタッキー・フライド・チキンは全国1100を越える店舗を有しており、コロナ下においても売上を伸ばしています。

その一因が「ピックアップロッカー」です。ネットオーダーした商品が指定の時間にロッカーに入れられ、事前決済を済ませたユーザーは非接触で商品を受け取れます。日本ケンタッキー・フライド・チキンはこの取り組みで中食を推進し、また商品受け取りの混雑解消も狙っています。

 

ヨドバシカメラ

ヨドバシカメラ

ヨドバシカメラの店舗受け取りサービスはネットショップでの購入の際に店舗受け取りを選択すると、受け取り店舗を指定できます。

店舗に在庫があった場合30分以内に、なかった場合近隣の店舗から取り寄せてくれます。在庫がない場合、仕入れ先から取り寄せます。いずれの場合も受け取り準備が完了したらメールで知らせてくれます。店舗によっては24時間いつでも受け取ることが可能です。

ウォルマート

ウォルマート

海外の事例ですが、ウォルマートは言わずと知れたアメリカ大手のスーパーマーケットチェーンです。

ウォルマートは2016年からクリックアンドコレクトを推進しました。クリックアンドコレクトとはBOPISと同じような意味で使われますが、厳密には違います。どちらかというとクリックアンドコレクトは自宅以外で受け取る方法(宅配便ロッカーなど)全般を含みます。

ウォルマートにはCleveron 401やCleveron 402と呼ばれる店舗受け取りサービスがあります。ウォルマートの顧客は、Walmart.comで購入する商品を選んで決済の時に「ピックアップ」オプションを選択すると、このCleveron 401で受け取ることができます。Cleveron 402はCleveron 401に比べると拡張性があり、より多くの商品を格納することができます。また、自動のピックアップマシ―ンなども稼働しています。

ウォルマートはその店舗数と、豊富な流通網で大手ECサイトとの差別化をはかりつつコロナ下の状況にも対応しました。

 

【BOPIS導入に際して】

BOPIS導入は自社ECサイトや店舗での受け取り方法、そのためのマニュアル、在庫の管理、取り寄せの流れ、従業員の配置など、それなりに大きなコストがかかります。ECサイトと実店舗の連携に置いて何が必要なのか洗い出したうえで導入を検討した方がよいでしょう。

GMOクラウドECではBOPISを行う為に必要な機能の選定から解決提案、構築まで一貫してサポート致します。勿論BOPISに限らずとも、全体戦略からEC事業の課題洗い出しや解決のご提案を行わせて頂きます。

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【まとめ】

ECサイトの登場により、流通や顧客のニーズは変化し、それは実店舗経営にとっては避けられない流れとなりました。BOPISは非接触型の購入という一つの選択肢を顧客に与えることで、コロナ下、そしてデジタル化していく競争環境を生き抜くための大きな戦略と言えるでしょう。

 

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