2020.10.30

今注目のソーシャルコマースの未来とは?

今注目のソーシャルコマースの未来とは?

EC・通販業界では、ユーザーとのコミュニケーションに、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用する会社が増えています。FacebookやInstagram、LINEなどのSNSでユーザーとつながることによって、ECサイトがより身近な存在となり、ユーザーとのコンタクトがスムーズになります。

このSNSからの情報発信やレコメンドから、EC購入につなげる販売スタイルは「ソーシャルコマース」と呼ばれ、多くのEC事業者が取り組んでいますが、最近ではSNSにショッピング機能が追加され、SNSからより直接的に商品を購入できるようになり、注目を集めています。
今回はEC業界に変革をもたらす「ソーシャルコマース」について解説いたします。

 

EC業界で注目を集める「ソーシャルコマース」とは?


まず、ソーシャルコマースの定義について考察したいと思います。これまでは、主にユーザーとのやり取りをSNSで実施し、自社ECサイトでの購入を促進することを、「ソーシャルコマース」と呼ぶことが主流になっていました。

FacebookやInstagramの企業ページに「いいね!」を押したり、LINEの企業アカウントと友だちになることで、ECサイトとのつながりができ、企業側はキャンペーンやおススメの商品・新商品の案内などをSNSで発信することができるようになります。

さらに最近では、SNSにショッピング機能をつけ、SNSから直接商品を購入できるサービスが出てきました。現在では、こうしたSNSでの直接購入やSNS経由での購入を含めて、大枠でソーシャルコマースと呼ぶようになってきています。

 

「ソーシャルコマース」の最新動向とは?


全世代でSNSの利用が拡大

SNSの利用率について説明したいと思います。

総務省の令和2年版情報通信白書によると、2019年の端末別のインターネット利用率は、「スマートフォン」が63.3%で、「パソコン」の50.4%を12.9ポイント上回りました。また、SNSの利用率は全体で67%、20代・30代では80%を超えています。

 

 

全世代で利用率が増加しており、SNSがネットユーザーに定着し、特に若い世代にとっては欠かせないツールになっていることがわかります。

SNSの利用率が増加するとともに、SNSを活用するECサイトも拡大し、商品の案内だけでなく、問い合わせ対応や商品の発送通知、ブランディング、セールやクーポンの案内、商品に関するアンケートなど、さまざまな目的で活用しています。

電子メールでは情報が埋もれてしまい、ユーザーに届きにくいこともありますが、SNSはユーザーとの接触率が高く、情報が届きやすいため、EC事業者もさまざまな目的で積極的に活用するようになってきています。

 

InstagramとFacebookにショッピング機能

こうした状況の中、Instagramが2018年6月にInstagramのショッピング機能「Shop Now(ショップナウ)」を開始しました。

Shop Nowは、ユーザーがInstagramに投稿された画像にある写真をタップすれば、商品詳細ページが表示され、さらにタップすると外部ウェブサイトに飛び、商品を購入することができる機能です。

Instagramの投稿から商品購入までの経路が簡単でスムーズになったことで、売上の増加が見込めることから、ファッションやコスメ、スイーツなど、Instagramと相性がいいフォトジェニックな商品を扱う多くのEC事業者がShop Nowを導入しています。

また、同年9月には24時間限定で掲載できる「ストーリーズ」でもショッピング機能が利用できるようになりました。

Instagramのショッピング機能が開始されてから2年後となる今年の6月には、新たにFacebookのショッピング機能「Facebookショップ(Facebook Shops)」も日本で開始されました。

 

Facebook newsroomより

中小企業のネットショッピングを支援することが目的の1つになっており、コロナ禍で店舗販売が苦戦するなか、タイムリーなサービスの開始となりました。FacebookショップはFacebookとInstagramのショッピング機能を統合するもので、より店舗の開設が簡単になりました。

今後はFacebookとInstagramで利用できる「Live Shopping」機能も開始される予定です。

LINEでは現在、直接的なショッピング機能はないのですが、LINE上から各種ECサイトにアクセスしたり、各種ECサイトから商品を横断検索できるサービス「LINE shopping」を提供しています。

 

LINE shoppingより

LINEを入口にして、ECサイトに送客するサービスですが、利用者はLINEポイントとそれぞれのECサイトからダブルでポイントを獲得できるなどのメリットもあります。InstagramやFacebookと比べると、直接的ではありませんが、こちらもソーシャルコマースの一種と言えそうです。

また、LINEは企業と消費者をつなぐコミュニケーションには欠かせないものになっており、LINE上でユーザーとつながってから、チャットボットを活用してユーザーの悩みを相談するようなスタイルでコミュニケーションを図り、商品購入につなげる「チャットコマース」も注目を集めています。このように、「ソーシャルコマース」では新たなサービスが続々と誕生しています。

 

Instagram「Shop Now」でソーシャルコマースを開始するメリットとは?


Instagramのショッピング機能「Shop Now」について詳しく見ていきたいと思います。

Shop Nowでは、Instagramでフィード投稿する際に、「商品情報をタグ付け」すれば、写真の商品画像の上に商品情報が表示されるようになります。ユーザーは、その商品情報をタップすると、外部のECサイトの商品購入ページに遷移し、そのページから商品が購入できます。

 

Facebook newsroomより

Shop Nowのメリットは、大きく分けて3つあります。

1つ目は投稿写真の商品に興味を持った人がすぐに商品を購入できることです。通常は写真を見ても商品情報がないので、購入したくてもその商品にたどり着けない可能性があります。商品名が分かった場合でも、検索するなどして商品が購入できるECサイトを探さないといけません。

2つ目は、無料で利用できることです。広告などの有料サービスではないため、無料で利用できることから、導入しやすいサービスになっています。

3つ目は、月間3300万人超のInstagramのアクティブユーザーに向けて、商品を訴求できることです。購入にまで至らなかったとしても、Shop Nowを利用した投稿で多くのユーザーに商品をアピールすることができます。

それでは、Shop Nowはどのようにしたら開始できるのでしょうか?

まず、Shop Nowを利用するには、Instagramの利用要件を満たしているかどうかの審査が必要です。要件とは、下記の5項目です。

1.FacebookおよびInstagramのポリシーに準拠していること
2.該当するビジネスとドメインに紐付いていること
3.所在地がコマースを利用できる国であること
4.信頼性を示すこと
5.正確な情報を提供し、ベストプラクティスに従うこと
※詳細はInstagramの「コマース利用要件」参照

上記5項目の要件を満たせば、Instagramアプリからアカウントの審査ができます。審査が承認されると、投稿やストーリーズから写真にタグ付けができるようになります。

 

「Facebookショップ」でソーシャルコマースを開始するメリットとは?


次に「Facebookショップ」の詳細について見ていきたいと思います。

Facebookショップは、カスタマイズできるオンラインショップを無料で作成できるサービスです。

 

Facebook newsroomより

Facebook社のさまざまなアプリでオンラインショップを公開でき、おすすめ商品を選択してコレクションを作成したり、ショップのカラーを変更するなどのカスタマイズができます。InstagramのShop Nowよりネットショップ構築のASPサービスに近い形です。

Facebookショップでは、MessengerやInstagramダイレクトを活用してメッセージのやり取りができることも特徴です。ユーザーは商品の質問やサポート、配送の追跡などのコミュニケーションを取ることができます。実店舗のような接客をFacebook上で行うことができるのは大きなメリットとなります。

Facebook newsroomより

Facebookショップのメリットを4つにまとめます。

InstagramのShop Nowと共通する点も多いのですが、1つ目は「Facebook」上で簡単に商品が購入できるようになること。2つ目は無料で利用できること。3つ目は2600万人のFacebookアクティブユーザーに商品をアピールできること、4つ目はFacebook上でWEB接客ができることです。

Instagram のユーザーは若い女性が多いのですが、Facebookユーザーは中高年の利用者がSNSで最も多いことが特徴です。40代以上のユーザーに向けて、効果的にアプローチできます。

利用の要件は、InstagramのShop Nowと同様です。販売したい商品を「コレクション」として登録し、Facebookの審査で承認されれば、ショップが開設されます。

※詳細はFACEBOOK for Business「ビジネスヘルプセンター」参照

 

なぜEC事業者はこぞって「ソーシャルコマース」を実施するのか?


Shop Nowの導入でInstagramの収益が20%増も

では、ソーシャルコマースは実際にどれくらいの効果があるのでしょうか? 米国のBIGCOMMERCEが公表しているShop Nowの事例では、衣料品ブランド「Naori」のInstagram経由のトラフィックが1,416%に増加したほか、婦人服ブランド「Magnolia Boutique」のInstagramの収益が20%増になり、ガジェットブランド「Native Union」のInstagram経由のトラフィックが2,666%増になるなどの効果が確認されています。

総務省が9月に発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、インターネット利用時間のうち、SNSの利用時間は平日と休日を合わせて34.2分とトップで、前回調査から3分以上増えています。この傾向は今後も続いていくと見られます。

SNSとの接触時間が多いことから、EC事業者側でもソーシャルコマースを利用しない手はありません。Facebookショップはサービスが開始されて間もないですが、Instagramのショッピング機能では、すでに多くのEC事業者が導入し、結果が出始めています。

 

若い世代はSNSで情報収集する傾向に

また、SNSとECサイトは相性が良く、例えばリアル店舗のキャンペーン情報をLINEで提供しても、ユーザー側は店舗に行かないと商品を購入できません。ECサイトであれば、LINEで情報を配信すれば、すぐに商品を購入できます。ECサイト側からのセールやレコメンド情報は、消費者にとっても優良な情報となります。

若い世代では、SNSで情報収集をする人も増えており、SNSの情報から直接購入ができるようになれば、気に入った商品をより簡単に購入でき、利便性も向上します。

事業者側にとってもSNSはユーザーとより深いコミュニケーションを取りやすく、うまく活用すれば、より近い関係性を構築しやすいと言えます。インフルエンサーマーケティングやSNSのインフィード広告などの出稿量が増えているのも、キーワード検索とともにSNSが重要視されている証かもしれません。

 

ソーシャルコマースの取り組みが業績に影響?

また、EC事業者にとってソーシャルコマースは、SNSという新たな接点を増やすことから、オムニチャネルの戦略の1つにも該当するとも言えます。

AIチャットボットを活用したWEB接客やSNSマーケティングを含め、ECの先端技術がこのソーシャルコマースに向いている感もあります。

Facebook社も、Facebookショップのサービス開始時に、単なる物を購入するという作業ではなく、ショッピングの楽しさを体験できる場にし、利用者がお気に入りのアイテムを簡単に見つけ、購入することができる環境を構築するなど、今後もショッピング機能を充実させていく方針を明らかにしています。ライブショッピングだけでなく、さまざまな革新的なサービスが生まれてくる可能性もあります。

また、Facebook社だけでなく、別のSNSサービスから、ECと関連するサービスが新たに生まれてくる可能性もあります。新規顧客獲得だけでなく、顧客接点を高め、LTV向上にも影響を与えるソーシャルコマース。今後の取り組み方次第で、ECの成長比率が大きく変わるかもしれません。

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