- 最終更新日:2022.10.07
- 公開日:2022.10.07
アパレル・ファッションECとは?最新データから売上高ランキング上位の企業を比較

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- コラム
目次
アパレルECとはファッション業界のECサイト
EC市場の中でも、アパレルECの需要は年々拡大傾向にあります。よく耳にする「EC」とは、「Electronic Commerce」の略称であり、「電子商取引」を意味します。つまり、オンラインで商品を購入できるサイトがECサイトです。
「アパレルEC」は、いわゆるファッション業界に特化したECサイトと考えるとわかりやすいでしょう。
近年、オンラインショッピングの利用者が増加したことにより、アパレル企業のEC事業への参入は、今後さらに加速していくと予想されます。以下では、アパレルECの種類について解説します。
メーカー・ブランドの直販サイト
直販サイトとは、メーカーやブランドが直接運営しているECサイトです。近くに実店舗がなく来店が難しい顧客でも、オンラインで気軽に商品を購入できます。
また、直販サイト限定の特典やキャンペーンを提供する企業が増加したことで、普段は実店舗で購入している顧客であっても、あえてECサイトを利用する場合があります。会員登録制度により顧客情報が共有されていることも多く、ポイント制度や送料無料キャンペーンを活用すれば実店舗と遜色ない顧客体験を提供することも可能です。
ファッション専門のECモール
ECモールとは、一つのECサイトに複数のショップが出店する、オンライン上のショッピングモールです。ファッション専門のECモールも存在し、「ZOZOTOWN」がその代表格です。
複数のブランドを比較して、同時に購入できるため、外出していくつも実店舗を回ったり、自宅まで多数の荷物を持ち帰ったりする労力も削減できます。
また、トップスやボトムスなどのアイテム、商品のサイズ、洋服の色ごとに商品を検索できる機能もあるため、「ベージュのトレンチコート」などと目的を絞って商品を探せます。
個人・店舗のセレクトショップサイト
セレクトショップサイトとは、複数のブランドや店舗からオーナーが商品をセレクトし、販売を行う通販サイトです。個人経営の場合は、個人オーナーが独自のこだわりをもって選んだアイテムを取り扱っており、珍しい商品に出会える可能性もあります。
また、大手のセレクトショップサイトでは、テーマやコンセプトに沿って複数のブランドから商品が集められており、一つのECサイトで似たテイストの商品を一度に購入できます。海外ブランドや古着など、好みのスタイルが決まっている方、ファッションにこだわっている方が多い傾向です。
アパレルECのビジネスモデル
前述のとおり、アパレルECは近年注目されています。そのため、アパレルECのビジネスモデルはECに携わっている方以外もおさえておくべきです。
以下では、アパレルECのビジネスモデルについて解説します。
BtoC-ECサイト
BtoC-ECサイトとは、企業(Business)から個人(Customer)に向けて商品を販売するECサイトです。BtoC-ECサイトの多くは、実店舗とECサイトを並行しており、ユーザーのニーズに応じて購入方法を選択できます。
オムニチャネルに対応している場合、ECサイトで購入した商品の店舗受け取り、実店舗で気になる商品のバーコードを読み取るとECサイトの口コミが表示されるサービスなどもあります。
CtoC-ECサイト
CtoC-ECサイトとは、個人(Customer)から個人(Customer)に向けて商品を販売するECサイトです。ヤフオク!をはじめとするオークションサイト、メルカリなどのフリマアプリはCtoC-ECの代表例です。
CtoC-ECサイトでは、販売商品の多くが中古であるうえ、直接取引できるため、一般的なショップよりもリーズナブルな価格で購入できます。一方、個人間の取引となるため、トラブルにつながるリスクも高く、出品や購入の際には注意が必要です。
国内のアパレルEC市場
株式会社矢野経済研究所の調査によると、2020年における国内のアパレル市場は7兆5,000億円です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、前年比18.1%のマイナスを記録しましたが、一方でEC市場は順調に推移しています。
(参考:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2807)
以下では、国内のアパレルEC市場について解説します。
EC化率・市場規模ともに好調に推移
経済産業省の調査によると、2020年度における衣類・服装雑貨ジャンルのEC市場規模は2兆2,200億円です。2019年度の1兆9,100億円から3,000億円ほどの成長をとげており、EC化率の面でも13.87%から19.44%まで伸びています。EC化率・市場規模ともに好調に推移しており、今後も同様の傾向は続くとみられています。
アパレルECが抱える課題
アパレルECは順調に市場規模を伸ばしていますが、業界内に課題がまったくないわけではありません。そのため、アパレルECへの新規参入を検討している企業は、課題を把握したうえで決断する必要があります。
競合が多く価格競争が激しい
いまや、ほとんどのブランドやメーカーがECサイトを展開しているため、それだけ競合の数も多くなります。オンラインショッピングは複数のブランドや商品を比較しやすく、価格の安い商品を好む顧客心理が働くため、市場の価格競争は激化しやすい販売モデルです。
また、同じ商品が違うサイトで出品されているケースもあり、自社商品を販売するECサイトも価格競争に巻き込まれやすくなっています。
接客や試着などのサービスが提供しづらい
アパレルECにとって最大の課題は、接客や試着ができない点です。顧客が試着をせずに商品を購入するため、商品が届いてから「思っていたイメージと違った」と返品される可能性があります。
また、店舗のスタッフが直接接客できないため、コーディネートやクロスセルの提案がしづらく、複数の商品を購入してもらいにくい点も弱みです。
アパレルECにおすすめしたいマーケティング戦略
前述のとおり、アパレルECにはさまざまな課題がありますが、広告や販促方法を工夫することで課題を解決できます。
以下では、アパレルECにおいて実践すべきおすすめのマーケティング戦略について解説します。
自社の独自ECサイトを立ち上げる
既成のECサイトやECモールを活用すれば、すぐにオンラインショップを開設できますが、サイトの自由度が低くなるデメリットもあります。一方、自社で独自のECサイトを立ち上げられれば、サイトデザインや機能のカスタマイズも自由自在です。
実店舗とECサイトを連携する(オムニチャネル)
実店舗とECサイトを連携すると、顧客情報や在庫情報を一元管理できるメリットがあります。各チャネルを連携するマーケティング手法は「オムニチャネル」と呼ばれており、近年のトレンドとなっています。
また、オムニチャネルは一貫した顧客体験を提供できるため、顧客にとってもメリットの大きい販売方法です。会員登録やポイントプログラムを導入している企業では、会員情報の共有によって過去の購入商品からレコメンドしたり、各チャネルで共通ポイントを付与したりすることもできます。
Web広告を活用する
ECサイトの主な集客方法はWeb広告です。Web広告は比較的低い単価から出稿できるうえ、オンライン上でECサイトまでの導線を敷けるため、相性のよいプロモーションです。
なお、Web広告を利用する際は、ターゲットに応じて媒体を変更する必要があります。顕在的なニーズをもったユーザーにはリスティング広告、既存顧客にリピートを促すにはリターゲティング広告と、ターゲットによって広告を使い分けられるとよいでしょう。
【2022年版】アパレルEC企業の売上高ランキング
最後に、アパレルECを代表する有名企業の売上高ランキングについて紹介します。日本ネット経済新聞の調査によると、以下のような結果となりました。
- UNIQLO(ユニクロ)
- アダストリア
- ベイクルーズ
- TSIホールディングス
- WORLD(ワールド)
2022年3月現在、ランキング形式のデータとしては本調査が最新となっていますが、いずれも2020年度売上高をもとに計算しています。
ユニクロ
ユニクロは、1,269億円の売上高で1位となっています。同社は早い段階からオムニチャネル施策を推し進めており、コロナ禍においてもOMO施策によってEC売上を伸ばしています。アプリ・EC会員数は1億4,000万人ともいわれており、今後もさらなる成長していくでしょう。
(参考:https://netkeizai.com/articles/detail/4826)
ベイクルーズ
ベイクルーズは、545億円の売上高で2位となっています。同社の成長の要因は、DX施策への取り組みです。
データドリブンをモットーに、アクティブ会員数やクロスユース(店舗・ECサイトの両方での購入顧客)などの面でKPIを設定して、スピーディーにPDCAを繰り返しています。
アダストリア
アダストリアは、538億円の売上高で3位となっています。同社の展開する複数ブランドをモール化した公式ECサイト「.st」の強化、Instagramのライブ機能を用いたオンライン接客によってEC売上を順調に伸ばしています。
さらに、低身長女性向けのライブ配信をはじめ、一人ひとりの顧客ニーズに着目した販促を実施している点も特徴的です。
オンワードホールディングス
オンワードホールディングスは、415億円の売上高で4位となっています。同社はECサイトではなく、実店舗で購入する顧客のニーズをヒアリングして、EC強化に活かしています。ヒアリングの結果、取り組んでいるのは「実物を確認したい」や「試着したい」などの声をもとに、実店舗とECサイトのメリットを組み合わせたOMOストアの展開です。
TSIホールディングス
TSIホールディングスは、406億円の売上高で5位となっています。同社の施策は、スタッフコーディネートコンテンツの充実化とオンライン接客への取り組みです。2022年2月期の決算発表によると、オンライン接客経由のコンバージョンは30倍以上となっており、大幅な成長を実現しています。
(参考:https://www.fashionsnap.com/article/2021-07-05/tsihd-2202-1q/)
まとめ
ファッションECは、国内EC市場の中でもEC化率が高く、盛り上がりをみせている業界です。その分、競合が多く価格競争も激化しやすい環境ではありますが、一方で顧客のニーズもたしかに存在するため、うまく活用できれば売上の向上につながるでしょう。