2021.10.15

「ネットスーパー」プラットフォームが拡大、流通事業者の新規参入が容易に

「ネットスーパー」プラットフォームが拡大、流通事業者の新規参入が容易に

コロナ禍で「巣ごもり需要」が拡大し、スーパーマーケットで販売する生鮮食品を含めた食品全般をネットで購入できる「ネットスーパー」の利用機会も急増しています。この状況を踏まえて、新規に参入する事業者や、新サービスが続々と出てきています。今回は「ネットスーパー」に関する新たな統計調査や新サービスなどをベースに、「ネットスーパー」の最新動向に迫りました。

2020年のネットスーパー市場規模は2990億円

ネットスーパーはコロナ禍の初期に非対面で生鮮食品を含めた食品を即日配送できるサービスとして注目を集め、現在でも利用が進んでいます。コロナ禍初期から約1年間の動向について、前回の記事に詳しくまとめてあります。

■非対面受取が多様化 コロナ禍で需要急増の「ネットスーパー」最新事情
https://www.cloudec.jp/ecnews/net_supermarket/

今回の記事では、主に前回の続きとなる新型コロナ発生から1年が経過した今年の動向についてまとめたいと思います。

まずはネットスーパー市場規模の市場規模について、みていきたいと思います。

(株)富士経済が2021年5月に発表した『通販・ECビジネスの実態と今後 2021』によれば、2020年のネットスーパー市場規模は前年比26%増2990億円でした。流通系企業がネット対応を強化したことや、新規参入企業も増加し、市場の拡大につながりました。

今後はネットスーパー専用の物流倉庫開設など、物流面の強化や取扱品目数の増加などにより、引き続き市場は拡大すると予想し、2021年の市場規模は同10%増3297億円を見込んでいます

育休中に頼りたいもの2位は「ネットスーパー」

ネットスーパーは、店頭で販売されている食品・産直品などを、自社物流網を活用して配送する店舗発送型のサービスのことを指すのが一般的です。ところが、スーパーなどの店舗を持つ流通系企業で次々とネットスーパーがスタートしたほか、大手流通企業がネットスーパー専用の物流倉庫を開設するなど、生鮮食品を含めた食品の販売手法が、店舗だけでなく、ネットスーパーを併用するスタイルにシフトしていることがわかります。

こうした統計を裏付ける調査結果も出ています。(株)クロス・マーケティングが2021年9月に発表した育児休暇関連の調査によると、育休中に頼りたいもの1位は50.0%で「親」となり、2位は「ネットスーパー」で33.3%、3位は「通販」の29.8%と続きました。男性への育休が制度化されるのを受けた調査ですが、ネットスーパーのニーズの高さが改めて浮き彫りになりました。

 

ネットスーパーのプラットフォーム「楽天全国スーパー」が誕生

2021年のネットスーパー市場では、楽天やAmazonなどのECモールが、地域のスーパーと協業してネットスーパーを開始する事例が目立ちました。

楽天グループ(株)は8月19日、ネットスーパーのプラットフォーム「楽天全国スーパー」を21年内に開始すると発表しました。サービス開始の第一弾は、群馬県を拠点に1都14県でスーパーマーケット「ベイシア」138店舗を展開する(株)ベイシアで、すでに同プラットフォームへの出店が決定しています。

楽天グループといえば、(合)西友と協働で運営する「楽天西友ネットスーパー」がまず思い浮かぶと思います。今回のプラットフォームは、「楽天西友ネットスーパー」で培ったノウハウをベースにしたもので、受注管理やオンライン上の決済、専用のシステム提供など、ネットスーパーの必要なものを一括で支援するサービスです。

スーパーマーケットの店舗しか持たない流通事業者は、このプラットフォームを利用すれば、期費用を抑えながら、早期にネットスーパーを立ち上げることができるそうです。

■「楽天全国スーパー」
https://event.rakuten.co.jp/group/netsuper/open/

Amazonとバローが最短2時間配送のネットスーパーを開始

また、ネットスーパーのプラットフォームではないですが、Amazonも個別にスーパーマーケットを展開する流通事業者との協業を進めています。

アマゾンジャパン(合)は2021年6月30日、愛知県を中心にスーパーマーケットを展開する(株)バローホールディングスと協業し、Amazonプライム会員向けサービスとして、(株)バローの実店舗で扱う生鮮食品のオンライン販売と最短2時間配送サービスの提供を開始しました。配送エリアは、愛知県名古屋市と清須市の2市(一部エリアを除く)で、今後も愛知県を中心に拡大していく予定です。

また、Amazonでは、ネットスーパーの「Amazonフレッシュ」をリニューアルし、料金体系を変更したほか、配送時間を最短2時間に短縮しました。

「Amazonフレッシュ」の配送時間はこれまで、注文から最短約4時間かかっていましたが、最短約2時間に短縮されました。配送エリアは変わらず、東京と神奈川、千葉の一部地域。これはAmazonフレッシュ専用物流拠点のシステムとオペレーション手順を改善したことで可能となりました。

また、料金体系についてはこれまで、プライム会費に加え、月会費500円でAmazonフレッシュ会員に登録することで配送料が無料になるプランと、登録せず配送料を都度支払う2つのプランがあったのですが、今後は料金体系を1本化。対象エリアのプライム会員であれば、追加会費なしで利用できるようにしました。最低注文金額は4000円以上~1万円未満の注文の配送料は390円で、1万円以上の注文の配送料は無料となります。

スーパーサンシもネットスーパープラットフォーム「JAPAN NetMarket」を展開

こうしたECプラットフォーマーによる、地域のスーパーマーケット店舗のネットスーパー支援が進んでいますが、このような取り組みは楽天やAmazonだけではありません。その代表例として、ここでは三重県に13店舗のスーパーを持つスーパーサンシ(株)のケースをご紹介しましょう。

同社はネットスーパーの事業を強化し、売上の20%以上をネットスーパーが占めるなど、ネットスーパーによって業績を拡大させている注目企業で、地方のネットスーパーの先駆けとも言える存在です。

同社では、会員に鍵付きの専用ロッカーを貸し出し、ネットスーパーで購入した商品はそのロッカーに届けることで、配送を効率化しています。こうした同社の店舗オペレーション、専用ロッカーを活用した配送ノウハウ、最先端のアプリなど「サンシモデル」としてパッケージ化しているのがネット宅配プラットフォーム「JAPAN NetMarket」です。2020年5月からスタートし、現在は10社を超える全国のスーパーが利用しています。

このほかにも、大規模なネットスーパーではカスタマイズ性に優れることからECサイト構築パッケージを採用するなど、多様化が進んでおり、今後も店舗を持つ流通事業者のネットスーパー参入が続きそうです。

宅配専用のスーパー「OniGO」が誕生、配送は注文から10分以内

ネットスーパー市場で今年最も注目を集めたのが、史上最速の10分配達という新サービス「OniGO(オニゴー)」でしょう。OniGO(株)は2021年8月25日、同名の宅配専用スーパー「OniGO」を、東京都目黒区に開設しました。

ネットスーパーは、店舗で販売されている商品をネットでも販売する販売形態がほとんどでしたが、「OniGO」は店舗販売をせず、ネット販売のみです。専用のスマホアプリから注文を受け、ネット販売専用の物流センターから担当者が商品をピックアップし、受け取った配送員が電動アシスト自転車を利用し、10分以内で配達する新しい流通小売業の販売形態です。

第1号店は東急東横線の学芸大学駅から徒歩圏内、目黒通り沿いにオープンしました。「OniGO」の最大の特徴は、「注文者が買い物に出向くより早く買い物が完了すること」。欲しいと思った商品は、アプリで注文してから10分以内で指定の場所に届けられます。

10分で配達を完了させることから、絞り込んだ配達エリアは、拠点から半径1㎞前後の圏内となっています。

取り扱う商品は約1000点に上り、食料品は鮮度にこだわった野菜や生鮮食品、お菓子、デザート、レトルト商品、調味料、水、お茶、ジュース、コーヒー、野菜ジュース、栄養ドリンクまで幅広い種類を用意。生活用品は必要性の高いトイレットペーパーやティッシュ、キッチン・洗濯・掃除用品、女性用衛生用品など、幅広いラインアップとなっています。

定休日はなく営業時間は10~22時まで毎日配達し、宅配料金は300円。注文後はチャットで配送状況を連絡します。同社ではすでに第2号店以降の出店を計画中とのことです。

10以内の配送実現でネットスーパーの利便性を大幅に向上

こうした店舗販売をせずに、ネットスーパーのみで販売する業態というのは、これまでになかったサービスです。物流拠点ではネットスーパーに特化した専用のオペレーションを組むことで、受注から商品選択→配送までを簡素化でき、半径1km前後の場所に10分以内で配送するというかつてないサービスを実現しました。

料理中に材料がなかったり、調味料が切れていることに気付いたりするのはよくあることですが、それから買い物に出かけるのは面倒だし、時間もかかります。10分以内に必要な食材や調味料を届けてくれるサービスは、利便性が高く、主婦に人気がでそうですね。

今後は「OniGO」だけでなく、今後は大手流通事業者がネットスーパー専門店を出すかもしれません。プラットフォームとして展開するネットスーパー支援サービスや、ネットスーパーの新たなサービスに社会的な注目が集まっています。

 

 

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    EC News編集部

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