• 最終更新日: 2024.08.30
  • 公開日:2022.02.10

オムニチャネルとは?注目される理由やポイント、導入事例を解説

オムニチャネルとは?注目される理由やポイント、導入事例を解説
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オムニチャネルとは、企業とユーザーの接点であるチャネルを、 webサイトだけでなく、スマホアプリなどそのほかのオンラインの接点、店舗などのオフラインの接点を含めてさまざまなチャネルと連携し、一環した顧客体験を提供しする販売戦略のことです。近年のSNSの流行や、スマートフォンの普及によって、欠かせないものになっています。今回はオムニチャネルが注目される理由や、その導入事例をご紹介します。

オムニチャネルとは

「オムニ(Omni)」には「すべての、さまざまな」という意味があり、「チャネル(Channel)」は「集客媒体、経路」を指します。マーケティングにおけるチャネルとは、企業と顧客との接点です。
つまり、オムニチャネルとは「あらゆるメディアからアプローチして企業と顧客の接点を増やし、購入経路を意識せずに販売促進へつなげる戦略」のことです。

オムニチャネルが注目される理由

オムニチャネルが注目される理由
オムニチャネルが注目されるようになった背景には、スマートフォンとSNSの普及があります。

スマートフォンの普及によって、ユーザーはいつでも、どこでもインターネット上で商品を比較して購入できるようになりました。複数のECサイトを見比べて最安値の店舗を選択できるほか、SNSで口コミを調べれば特徴やメリットもわかります。つまり、ユーザーは実店舗に足を運ばなくても、オンライン上でショッピングを完結できます。

また、オンラインショッピングの拡大にともなって、チャネルも多様化しました。そのため、顧客の消費行動の変化に合わせて、企業側もあらゆる角度から顧客との接点を作り出すことが必要です。

顧客が商品を求めるタイミングや方法を理解したうえで、商品を提供することが顧客満足度の向上においても要となっています。

そのほかのチャネル形態との違い

そのほかのチャネル形態との違い
マルチチャネルやO2Oなどの用語はオムニチャネルと混同されやすい概念です。しかし、マーケティングを考えるうえでは、細かな違いを理解することが大切です。
以下では、それぞれの違いや概要について解説します。

マルチチャネルとの違い

マルチチャネルとは、複数のチャネルを利用するマーケティング手法です。たとえば、実店舗のみを運営していた企業がECサイトやSNSをたちあげるケースがマルチチャネルにあたります。複数のチャネルを設ける点はオムニチャネルと同様ですが、マルチチャネルはかならずしも各チャネルを連携させません。

マルチチャネルでは、各チャネルが独立しているため、顧客や在庫の管理体制が弱みです。顧客が購入したいタイミングで在庫切れになるなど、機会損失につながりやすくなります。

クロスチャネルとの違い

クロスチャネルとは、複数のチャネルを一元管理するマーケティング手法です。それぞれのチャネルで在庫や顧客の情報を相互に連携します。たとえば、実店舗とECサイトで在庫情報を連携していると、片方が在庫切れとなっても商品を販売できます。マルチチャネルと比べて、顧客体験の質を高められるでしょう。

O2Oとの違い

O2O(Online to Offline)とは、オンラインからオフライン、またはオフラインからオンラインに顧客を誘導するマーケティング手法です。たとえば、アプリで現在地から近い店舗の位置を表示する方法があります。オンラインで獲得した顧客をオフラインの店舗に誘導する事例です。

O2Oではオンラインとオフラインのチャネルを分けて考えますが、オムニチャネルはそれぞれのチャネルの境界をなくします。オムニチャネルの場合、別チャネルに誘導して購入までの導線を敷くのではなく、最終的に利用するチャネルは顧客にゆだねられます。

OMOとの違い

OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインを併合するマーケティング手法です。O2Oではデジタルを起点に、オンラインとオフラインを組み合わせます。たとえば、オフラインで提供していたサービスを、オンラインでデータベース化する事例などがあります。

OMOは、オムニチャネルやO2Oの考え方をもとに、さらに顧客体験の質を向上させるものです。新たなビジネスモデルとして注目されています。

OMOについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

オムニチャネルのメリット

オムニチャネルのメリット
オムニチャネルは、顧客満足度の向上をはじめ、さまざまなメリットがあります。企業側、顧客側のそれぞれがメリットを享受できる点が特徴的です。

以下では、オムニチャネルのメリットを4つの観点から解説します。

顧客満足度の向上

オムニチャネルでは、オフラインとオンラインを連携して、これまでにない顧客体験を実現できます。とくに顧客が商品を購入しやすくなる点はオムニチャネルの強みです。

たとえば、店舗に行ったら在庫がなかったり、店舗には在庫があるのにECサイトでは在庫切れになったりすることがなくなります。オムニチャネルの導入によって、顧客は商品を探す手間をかけず、スムーズに購入できるようになるでしょう。

一貫したマーケティング

オムニチャネルでは、あらゆるチャネルを連携させて、一貫性をもたせたマーケティングを実施します。実店舗やECサイト、SNSをはじめ、さまざまなチャネルがありますが、顧客はどのチャネルにおいても同様の顧客体験を得られます。そのため、顧客は販売経路やチャネルの違いを意識せず、商品を購入できるはずです。

また、それぞれのチャネルの連携によって、個々の顧客に最適化されたアプローチができる点もメリットです。

機会損失の減少

オムニチャネルを導入すると、在庫管理の体制を整えやすくなる点もメリットです。

各チャネルが独立していると、それぞれの販売状況を共有するのが難しくなります。一方、オムニチャネル化していれば、チャネル全体の在庫状況をリアルタイムで把握できます。
ECサイトの出荷元倉庫から在庫がなくなっても店舗の在庫を発送したり、店舗の在庫切れ商品をECサイト経由で後日自宅に配送したりすることも可能です。

業務の効率化

オムニチャネル化は、店舗における業務効率化にも役立ちます。各チャネルで独立していた業務を一元管理できるようになるため、業務の煩雑さを解消できるだけでなく、全体の業務量も減る可能性が高いです。

また、業務の負担軽減によって従業員が顧客対応に割ける時間も増えます。その分、より細やかな接客ができれば、顧客満足度やロイヤリティの向上につながるでしょう。

オムニチャネルのデメリット

オムニチャネルのデメリット
オムニチャネルは効果的な販売戦略ですが、もちろんデメリットもあります。導入を検討する際はデメリットもあわせて理解しておくことが大切です。

以下では、オムニチャネルのデメリットを3つの観点から解説します。

効果が出るまでのタイムラグ

オムニチャネルの導入から効果が得られるまでにはタイムラグが発生します。とくに顧客満足度やロイヤリティを向上させるには、少なからず時間が必要です。そのため、オムニチャネル化は即効性のある施策とは言い難いでしょう。

また、効果が出るまでの間、直接的に売上にはつながらずとも、PDCAを回していく必要があることを考えると、予算やリソースの余裕も求められます。

実店舗の売上が減少するリスク

オムニチャネル化は、各チャネルをリンクさせて顧客体験の質を向上させる施策ですが、実店舗からオンラインに顧客が流れるリスクもあります。オムニチャネルの目的は、オフラインからオンラインに誘導することではありません。

オンラインでは利便性の高い顧客体験を提供できますが、オフラインならではの強みもあります。たとえば、実際に商品を見られたり、店員の意見を聞いたりできる点は、実店舗のみの付加価値です。

オムニチャネルの目的は、各チャネルを連携しつつ、それぞれのチャネルごとの強みを活かして売上全体を底上げすることです。

認知を拡大させる必要性

オムニチャネルの導入後は、顧客に対して認知してもらわなければいけません。どんな魅力的な機能を実装しても、顧客自身が知らなければ利用されないためです。時間はかかりますが、徐々に認知を拡大させられるよう、広告の出稿やDMの発送などを実施すべきです。

なお、オムニチャネルの認知を拡大させる際にも、オンラインとオフラインを組み合わせるとよいでしょう。どんなチャネルを利用している顧客に対しても、アピールできるような手段を組み合わせるのがポイントです。

オムニチャネル化の流れとポイント

オムニチャネル化の流れとポイント
オムニチャネル化を成功させるには、正しい流れで進めることが大切です。また、流れの中で意識すべきポイントもあります。

以下では、オムニチャネル化を実施するフローとポイントについて解説します。

ロードマップの策定

オムニチャネルを導入するうえではロードマップの策定が大切です。はじめに全体のロードマップを作成して、必要な準備や具体的な流れを共有します。

ロードマップの作成時は「5w1h」を意識します。それぞれの流れにおいて「いつ」「だれが」「なにを」「どのように」進めるかを明確にしておくべきです。

カスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を認知して購入に至る過程を図式化したものです。カスタマージャーニーマップを作成する際は、購入をゴールとするのではなく、ロイヤルカスタマーの獲得までを一連の流れとします。

カスタマージャーニーマップでは、顧客をステージごとに分けて考えることが大切です。顧客のステージとは、新規、リピーター、ロイヤルカスタマーなどです。ステージごとに最適なアプローチは異なるため、顧客へのアプローチもあわせてイメージしておくとよいでしょう。

各チャネルにおける認識の共有

オムニチャネルでは、すべてのチャネルにおいて一貫したマーケティングを実施します。そのため、はじめに全体で共通した認識をもっておかなければいけません。認識を統一しておくと、よりスムーズな連携が可能です。

また、各チャネルの役目や位置づけもすべてのメンバーが把握しておくべきです。みずからの役割を意識してサービスを提供することがよりよい顧客体験の創出につながります。

データ連携やシステム統合

オムニチャネル化において、データ連携は必須事項です。各チャネルをリンクさせずに、複数のチャネルを利用するだけではマルチチャネルにすぎません。オムニチャネルを導入する上では、このデータ連携を自由に出来るプラットフォームを選定する事が重要でしょう。

データを連携するには工数がかかります。システムの改修やプラットフォームの乗り換えが必要となるケースも多いです。しかし、各チャネルのデータをシームレスに利用できる環境を整えると、業務負担の軽減や顧客体験の改善にもつながります。中長期的にみるとプラスに働く要素も多いはずです。

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カスタマージャーニーの効果検証

オムニチャネルの導入後は、カスタマージャーニーの効果検証を実施します。PDCAのCheckとActionにあたる部分です。効果検証の際はカスタマージャーニーマップをもとに、当初想定していたカスタマージャーニーを実現できているかを確認します。

ユーザーは理論よりも感情をもとに動いていることが多く、当初の想定と一致しないケースもあります。オムニチャネル化したあとでユーザーの実情をチェックしつつ、軌道修正をすることが重要です。

オムニチャネルの導入事例

オムニチャネルの導入事例
オムニチャネルは、イオンや無印良品をはじめ、さまざまな企業において導入されています。とくに大企業における導入事例が主です。

以下では、オムニチャネルを導入している企業の例を紹介します。

イオン

イオン幕張新都心店は、アプリを活用したオムニチャネルを導入しています。アプリで食材のポップを読みとると、レシピを確認できます。また、店舗で在庫切れとなっている商品をECサイト上で検索して、店舗で決済すると配送も可能です。

無印良品

無印良品は、スマートフォンアプリを利用したポイントプログラムを導入しています。来店や購入によってポイントを貯めると、次回以降のショッピングで利用できます。また、位置情報をもとにしたクーポン配信にも力を入れており、デジタルを活用した販促も特徴的です。

東急百貨店

東急百貨店は、フロアマップの確認や商品の購入ができるスマートフォンアプリをリリースしています。さらに、SNSもチャネルとして活用しており、TwitterやFacebookではクーポンを配信しています。SNS経由でクーポンを配信すると、チラシやDMよりも開封率が高くなるでしょう。

ユニクロ

ユニクロは、実店舗とECサイト、アプリを活用したオムニチャネルを導入しています。相互送客やクロスセルによって売上につなげているうえ、シームレスな顧客体験はブランディングにも効果的です。顧客がチャネルの違いを意識せずにサービスを受けられる点は、オムニチャネルの理想的な姿といえるでしょう。

これからのオムニチャネルの進め方は?

コロナ禍におけるオムニチャネルの進め方は?
現在のスマートフォンの普及やテクノロジーの発達にともなう購買行動のデジタル化は、急激に加速しています。いまや、企業におけるオムニチャネル戦略は、販促の基本となっています。実店舗だけではなく、ECサイトやSNSをはじめ、オンラインチャネルで顧客とつながる機会を増やすことが大切です。

また、接触機会を軽減しつつ商品を購入できる仕組みは、利便性の向上だけでなく、安心感を提供することにもつながります。

まとめ

まとめ
オムニチャネルは、複数のチャネルを連携させてサービスを提供させるマーケティング手法です。一貫したマーケティングやシームレスな顧客体験がポイントです。オムニチャネルをうまく活用できれば、よりよい顧客体験を実現できるだけでなく、業務の効率化にもつながります。

とくにアフターコロナにおける消費行動の変化とともに、オムニチャネル化の重要性は増しています。顧客の獲得やロイヤリティ向上に役立てられるでしょう。