2020.04.17

【EC座談会2020】#9 フルフィルメントの重要性 前編

【EC座談会2020】#9 フルフィルメントの重要性 前編

大手食品メーカーD2C新規事業開発の責任者と、コスメD2C事業の経営者の2名の相談者を交えて【EC座談会2020】を実施しました。今回は9回目の連載となります。

決済方法と課題について


ファシリテーター尺田(以下、尺田)
新規顧客と顧客になって頂いてからのCRMについて、顧客のフルファネルに沿ってご相談を進めてきました。

最後のテーマとなりますが、大変重要な運用機能/運用作業であるフルフィルメント(決済・発送・バックオフィス)についてお話しを進めていきましょう。

それでは、ワークフローの順を追ってとなりますが、田中部長にお伺いします。普段ECサイトでの買い物ではどのような決済手段をお使いですか。

相談者田中部長(以下、田中)
私が購入する際は、クレジットカード決済が多いです。妻は、楽天のポイントの高い時には、登録しているクレジット決済で買っているようです。一般のECサイトでの支払いにはクレジットは怖いらしく、コンビニで後払いをしていますね。
大学生の娘は、ZOZOTOWNでよく購入しているようですが、家族にカードを持たせていないので、後払いです。返品も度々行うことや、おこずかいの管理ができる、と言っていました。

尺田
ありがとうございます。娘さんの後払いは「ZOZOツケ払い」ですね。賢い選択ですね。
それでは事業者側として、児嶋社長が現在導入されている決済方法と課題について教えてください。

相談者児嶋社長(以下、児嶋)
現在、一番利用が多いのは、クレジット決済です。次は、コンビニでの後払い決済です。これを後払い代行会社に移行しようか、入金管理工数と手数料を比較しながら迷っています。以前は、代引き決済もしていたのですが、返品と手数料の関係で止めています。新規にID連携決済を導入してみたいのですが、ECシステム面と決済代行会社の移行か追加を行わなくてはいけないようで、悩んでいます。

アドバイザー滝沢(以下、滝沢)
弊社も、児嶋社長と同じような決済構成ですね。顧客体験の視点と、運用面からみて、より利用いただきたいのが、クレジットカード決済になりますね。

クレジットカードも課題はあり、商品がそれなりに売れ始めると不正取引が一定数発生しますので、不正の検出サービスや、チェックできるワークフローの柔軟な設定がECシステム側で実装や連携してくれるのであれば、とても安心で安全です。顧客から見れば、手間いらず、意識しないままに支払いが行われるので、便利だと思います。

次に、後払い決済ですが、自社の場合は、督促や回収の手間がそれなりに掛かります。といいつつ、後払い決済の代行会社の手数料率は、クレジット決済の代行手数料と比較して高いと感じてしまいますね。後払い代行決済については、APIリアルタイム与信が充実してきていて、再与信の手間なども削減されるので、採用しない理由は無いと思います。顧客への納品書の3分の1を振込票のスペースに取られるのも避けることが出来ますので、コミュニケーション施策としても価値はあります。運用面では、入金管理も消込作業が実質無くなりますので、工数は削減されますね。

最も減らしたくて、利用のオプションに掲示したくないのが、代引き決済です。返品・受取拒否の発生頻度が増加しているのと、その際の、決済手数料は事業者負担ですし、返品送料についても、事業者負担になるので、まったく費用が回収できないことになります。

田中
これまでの回でも、ECカート機能やCRMでもアドバイスいただきましたが、Amazonや楽天、Yahoo!などのプラットフォームIDや、LINE、Facebook、InstagramなどのソーシャルID連携やその決済サービスについてはどうでしょうか。

アドバイザー吉村(以下、吉村)
自社のユーザーの利用シーンに合うのであれば、可能な限り導入すべきですね。自分にとって身近で便利な決済サービスを選択するという顧客行動は、多くの決済サービス会社のレポートで実証、報告されています。

顧客が結果として自社サイトでクレジットカード登録をして決済をしている場合もありますが、PCI DSSに対応しているからといえども、顧客体験としては、クレジットカードデータを登録するのは手間ですので、ID連携であれば、セキュリティ面の安心・信頼感からみても心理的ハードルは下がります。また、決済会社側でポイントもつけてくれますので、顧客サイドにとってはお得感もありますね。

ただし、ECシステムのバックオフィスの機能面、運用面から言えば、プラットフォーム系の決済では、顧客の決済管理メニューから定期支払の解約が出来たり、そのアクション決済ステータスが通知連携されない仕様になっていたりしますので、運用面での設定やワークフロー設計が必要です。

更には、各ID決済のEC事業者側の管理画面の仕様が、使いにくいことがありますので、こちらで運用面での確認や、ワークフロー設計が必要です。改善要望を出しても改善されることは期待薄ですので、決済会社次第ですが、ECシステムのバックエンド機能からAPI連携が出来るのであれば便利ですね。

小さいことですが、1つ1つの作業工数が積み重なればそれなりの負荷になります。また管理画面を2つ操作するのは、運用工数的に負担がかかり、間違いが発生する可能性が高くなるので、少々費用が高くても実装すべきです。クラウド型であれば、追加費用は発生しないはずですが。

児嶋
では、システムのリプレースに合わせて決済会社も再検討したほうが良さそうですね。

尺田
決済手段の多様化という面では有益ですが、既存のクレジット決済会社の変更は余程のことが無い限りは、おすすめはしていません。何故なら、クレジットカードデータの移行は、実行しようとすれば可能ですが、移行のために、現在の決済代行会社との交渉や、そのデータ抽出コストと、スケジュール調整が大変なものになります。これは、ECシステム会社でも、新規の決済代行会社側でも実施ができなくて、事業者側が行うことになります。また、カード情報再登録の手間により、既存顧客の離脱も発生する覚悟で臨んで頂くことになります。

児嶋
なるほど、再検討する場合は慎重に考えないといけないですね。

商品発送や在庫管理の課題


尺田
商品発送や在庫管理での、現状運用方法にお困りのことはありますか。

児嶋
一番は、返品ですね。あと、配送料の値上げで、送料無料の金額設定を上げた為、売上への影響が出ている事でしょうか。

同梱(InBox)物も、今のシステムでは、お客様向けに、組み合わせを自由にアレンジできないので困っています。発送をお願いしている会社で、同梱物を事前にキット化して入れて頂いていますが、柔軟性が無いのでどうしたものか悩んでいます。

田中
児嶋社長、普通は同梱物も、在庫管理をしているものでしょうか。しないといけないものでしょうか。

児嶋
決算時には実棚を把握するようにしていますが、月次で実際の棚卸はしていませんね。システム上にはセットキット化している関係から、在庫管理計上が連動してできていないので、Excelで管理しています。在庫が足りなくなりそうな時、担当が追加発注などを行っています。これも、発注点管理や納期面からみても、大変と言えば大変なのです。

吉村
税務的には、同梱物=販促物ですので、在庫管理して決算には反映しないといけないのですが、定期的に棚卸して実在庫での管理をするだけでもなかなか大変ですよね。

田中
弊社は、食品関連会社でもあるので、プレゼントやギフト需要などの対応は重要と考えています。児嶋社長の事業では対応されていますか。少なくなってきたとはいえ、中元歳暮などのギフトについては、販売卸先では展開されているので、ECでもそのサービス機能は必要ではないかと思っています。

児嶋
それに関連することですが、香水などを販売している友人の会社では、お名前を入れたメッセージカードを展開していて好評のようです。ギフトならより一層必要ですよね。その場合、個別に印字する機能は欲しいですね。弊社のサービスとしては、のし、名入れは無いので、田中部長のビジネスでしたら、女性目線からみて検討されたほうが良いですね。

吉村
3PLで必要な視点としては、物流費の削減として、お届け先のロケーションに応じて、複数倉庫(発送元)の管理や配送会社の選択ができるかが重要です。これは、お客さまからのご指定もありますね。荷姿の自動計算とそれに応じての配送料金計算などが、システム機能面では求められてきます。

意外と忘れがちではありますが、自然災害などや交通網の不断による、発送不可や遅延に関する処理をどうするかは、設計するべきです。例えば、配送不可エリア情報をどう得るのか、得た情報をどうトランザクションデータに反映させるのか、反映させたのちに顧客にどう伝えるのかを検討する必要があります。また、再開時に、通り一遍の同梱物などお送りしてしまうと、失礼と失望を招いてしまいます。

このような際、現場の作業に必要な帳票生成のために、それに対応した情報をWMS側に渡してWMS側で処理するパターンと、必要な帳票はECシステム側で生成し、3PLパートナーにECシステムのIDを渡して、そのまま運用処理して貰うパターンの2種類があります。

また、CRMカスタマーセンター側では、発送完了や、未配達、不在、返品のデータが3PLパートナーからスムーズに返信され、ECシステムに反映されるかどうかがポイントになります。例えば、CRMカスタマーセンター側では、発送状況のステータスが、配達完了になっていないアラートを「見える化」することで、返品リスクを削減することができます。また、お客さま側でも、マイページ機能などを通じて自由に配送状況を確認して変更もできる(ヘルプデスクコンタクト作業の軽減)かも重要です。

また、サブスクリプションや定期販売では、スキップ、休止、解約を可能とするか。可能な場合、どの時点まで受付可能にするか、また事前オーソリの結果取得や、その対応方法、ID連携先の仕様に基づいてのウォッチや管理方法がどう実装されているか重要です。

次回も、引き続きフルフィルメントの重要性について話し合います。

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    EC News編集部

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