• 最終更新日: 2023.06.27
  • 公開日:2023.06.27

バスケット分析とは? 意味や意義を徹底解説!

バスケット分析とは? 意味や意義を徹底解説!
  • BtoC
  • EC
  • マーケティング
  • 用語・知識
  • 運用

バスケット分析は、ユーザーがECサイトで物品を購入する際にセットでカートに入れられる製品間の関係を明らかにするための分析のことであり、ECにおけるユーザーの購買行動を把握するために行います。この記事ではECが普及する中で、ますます重要視されているバスケット分析について解説していきます。

バスケット分析とは?

そもそもバスケット分析って一体なに?

バスケット分析は、ECサイトの「買い物かご(バスケット)」でどのような商品がセットで売れているかを分析し、顧客の購買行動を理解する事を指します。

たとえば、ECサイトで何かをカートに入れた時にさまざまなサジェストがあると思いますが、それらもバスケット分析に関連しています。バスケット分析は、主にデータマイニングやビジネスインテリジェンスで使用される手法です。 顧客の取引を調査して、1 回の取引で購入された商品間のパターンと関連性を特定します。

こうして得られた知見は、店舗が商品の配置を最適化し、ターゲットを絞ったプロモーションを実施して売上の増加に貢献します。

有名な事例「おむつとビール」の相関

バスケット分析の最も有名な例の 1 つは、「おむつ」と「ビール」の相関関係です。

とある小売店では、金曜日の夕方時間帯はおむつを購入した顧客はビールも頻繁に購入していることがわかりました。この結果から週末の仕事帰りに嵩張るベビー用品を買いに来て帰宅後に晩酌をするというユーザー行動が浮かび上がり、小売業者はおむつ売り場の近くにビールを配置するように店舗レイアウトを調整し、その結果、両方の製品の売上が増加するという結果となりました。

「おむつ」と「ビール」のように、一見すると関連性がない商品同士からユーザーの併売行動を発見する好事例と言えるでしょう。

バスケット分析の意義

バスケット分析は、顧客の行動と購入パターンに関する傾向を分析します。 どの製品が一緒に購入されることが多いかを理解することで、企業は在庫管理、マーケティングとしてのキャンペーン、クロスセル(一緒に他の商品を購入してもらうこと)、アップセル(よりグレードの高い商品を購入してもらうこと)戦略に関して情報に基づいた戦略を打ち出すことが可能です。 これにより、企業は顧客満足度を高め、収益を増やし、業務の効率化を図るができます。

バスケット分析は実際どんなデータを分析しているの?

バスケット分析では、顧客を紐づけるID、日付、購入品目など、それぞれ個別の購入行動に関する情報を含むトランザクション(ここでは取引や売買のこと)のデータを必要とします。 このデータは、特殊な技術とアルゴリズムを使用して分析され、製品間の関連性を導き出します。

バスケット分析の指標について

支持度(サポート値)

支持度は、すべてのトランザクション内での特定の製品またはアイテムの頻度または発生の尺度です。 これは、項目がデータセット内に出現する頻度を示します。 支持度は、アイテムを含むトランザクション数をトランザクションの合計数で割ることによって計算されます。

たとえば、商品の100 件の取引のうち、20 件に特定の商品Bの購入が含まれている場合、商品Bの支持度は 20% となります。

信頼度(コンフィデンス値)

信頼度は、トランザクション内の 2 つの項目間の関連性の信頼性または強さを測定します。 商品 A が購入されると、商品 B も購入される可能性を示します。 信頼度は、両方のアイテムを含むトランザクションの数をアイテム A を含むトランザクションの数で割ることによって計算されます。

たとえば、商品Aを含む 50 件の取引のうち、30 件の取引に商品Bの購入も含まれている場合、商品Bにとっての商品Aの信頼度は 0% になります。

期待信頼度

期待信頼度は、全顧客のうち、その商品を購入した人の割合のことを差します。関係するアイテムの個々の支持度に基づいて関連性の基本的な信頼度を計算します。 これは、その関連が偶然起こったわけではなく頻繁に発生する物であることを特定するのに役立ちます。

リフト値

リフト値は、一緒に購入される2 つの商品の関連性の強さを測定します。 これは、商品 A が購入されたときに商品 B が購入される可能性が、ベースラインの期待を1としたとき、それと比較してどの程度高いかを表します。 1 より大きいリフト値は関連して購入されることを指し、1 未満の値はむしろ二つの商品がセットで購入されることは通常より低いことを示します。

バスケット分析の注意点と最適な方法

製品またはカテゴリーの組み合わせによる結果の違い

バスケット分析を行う場合、分析対象の製品またはカテゴリーの組み合わせを考慮することが重要です。 組み合わせが異なると、さまざまな結果と関連性が得られる場合があります。 特定の二つの商品の関連性はスーパーマーケットでは重要かもしれませんが、他の業界や製品カテゴリーでは当てはまらない可能性があります。つまり特定の事業や業態においては有効な組み合わせでは有効でも他の業界では適用できない場合があることを認識しなければなりません。

売れ筋商品を除外する

バスケット分析では、売れ筋商品を分析から除外することが推奨されます。流行しているような人気のあるアイテムはサポート値が元々高い傾向があり、他のアイテムとの関連性があまり参考にならないためです。 最も売れている商品を除外することで、あまり購入されない商品間の意味のある関係を特定することに分析を集中できます。

分析結果と因果関係は必ずしも一致しない

バスケット分析は、顧客の購買データで検出された関連性を分析します。 ただし、分析結果に至った状況を考慮することが重要です。 バスケット分析を通じて特定された関連性は、必ずしも因果関係を示すものではありません。 よって、分析結果を手に入れても、戦略的な決定を下す前はそれらを注意深く解釈し、さらに検証する必要があります。

バスケット分析データ収集方法

データ収集手法

バスケット分析を実行するには、企業は顧客の購入を捕捉する購買データを必要とします。上述したようにこのデータには、顧客を紐づけるID、日付、購入品目など、それぞれ個別の購入行動に関する情報を含む必要があります。 このデータの収集は、販売時点情報管理 (POS) システム、ECプラットフォーム、ロイヤルティプログラム(優良な顧客に対して企業が特典などを提供するマーケティング施策)のデータベースなど、さまざまな方法で行うことができます。

ECサイト上のデータ活用

ECサイトではユーザーがどのような商品を購入したか、同時に購入する商品や、商品の購入後に見たページ、検討比較をするページなど様々なデータを収集・活用する事が可能です。これらのデータを活用して、リコメンド(おすすめ)商品リストへと活用することで、同時購入を促進し、顧客単価を向上する事が可能となります。

また、GMOクラウドECではPOSやアプリなど各種システムのデータとリアルタイムで連携する事が可能です。これらのデータを一元化する事でより精度の高い分析を行うことが可能となり、オンラインとオフラインの垣根を無くした購買行動(OMO)を実現できます。

バスケット分析のメリット

個人のニーズに合わせた購買体験を提供できる

バスケット分析により、企業は顧客の好みや購買習慣を理解し、ターゲットを絞った提案ができるようになります。 この方法の目的は、個人のニーズや興味に基づいて顧客関係を構築することです。 関連する製品の提案を提供することで、企業は顧客満足度を向上させることができます。

効果的なプロモーションが可能に

顧客の購買行動の関連性を特定することで、企業は効果的なプロモーション施策を実施できます。 たとえば、バスケット分析により、スポーツシューズを購入する顧客はトレーニングウェアも購入する可能性が高いことが判明した場合、それに即したキャンペーンを作成できます。これは簡単な例ですが、 バスケット分析により、追加販売の可能性が高まるだけでなく、的確な提案をされることによって顧客の全体的な購買体験も向上します。

顧客単価向上と運営コスト削減

バスケット分析を通じて、企業はクロスセルやアップセルの機会を増やすことができます。 さらに、顧客の好みや購入パターンを理解することで、企業は在庫管理を最適化し、製品の過剰在庫や在庫不足に伴うコストを削減できます。

バスケット分析とアソシエーション分析の違いとは?

バスケット分析は、アソシエーション分析の特別な応用です。 アソシエーション分析は、得られたデータの中の全ての項目間の関連を発見することを目的としています。 一方、バスケット分析は、個々の取引、つまり「ひとつのバスケット」の中の関連付けの分析に焦点を当てています。つまり全体と個別、どこに焦点を当てているかがこの二つの分析の違いと言えるでしょう。

まとめ

バスケット分析は、顧客の購買データ内の関連性を明らかにする強力な手法です。 どの商品が一緒に頻繁に購入されるかを理解することで、企業は在庫管理を最適化し、顧客にパーソナライズされたマーケティングを実施し、結果として顧客満足度を向上させることが可能です。 支持度、信頼度、期待信頼度、リフト値などの指標は、アイテムの関連付けとその強度についての分析に役に立ちます。 バスケット分析を実装するには、ID レシート BI ツールなどの専用ツールを使用し購買データを収集し、関連性に因果関係があるかに留意しながら、結果を慎重に解釈して検証しなければなりません。

バスケット分析を活用することで、企業は効果的なマーケティング戦略を実施し、顧客満足度をあげることで企業と顧客間の関係をよりよいものにし、その結果として経営を改善することが可能だと言えるでしょう。

 

  • EC Newsアイコン

    EC News編集部

    2019年にスタートしたEC特化メディア。昨今のECシステムの様々な情報を発信します!

フルスクラッチでご希望のECサイトを制作します 再規模ECサイトにも対応可能!