• 最終更新日: 2023.06.29
  • 公開日:2023.06.29

C2Mとは?「完全受注生産型」ECビジネスを徹底解説

C2Mとは?「完全受注生産型」ECビジネスを徹底解説
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C2M(Consumer to Manufacture)は直訳すると「消費者から製造者へ」となり、消費者の直接注文を製造者が受けてから商品を作る「完全受注生産型」のビジネスモデルを指します。この記事ではC2Mについての意味と現状について解説していきます。

C2Mとは?

C2M(Consumer to Manufacture)は近年中国のEC業界で提唱されたビジネスモデルで、製造者は在庫を持たずに消費者からのオーダーを受けて製品を作るビジネスモデルの事を指します。

このビジネスモデルでは、中間業者を挟まないことによるコストの削減や直接的なユーザーとメーカー間のやり取りによる信頼関係の構築、一貫したブランディングの確立などが主なメリットとして挙げられます。この点についてはD2Cビジネスと共通していますが、C2Mで重要なのは、従来のメーカーから消費者へというサプライチェーンが反転しているという点です。

D2Cについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

今注目のD2Cとは?ビジネスモデルの特徴からメリット、成功事例までわかりやすく解説

C2Mの導入は従来の事業をもつ事業者にとっても、また、新規事業者にとっても現代の消費行動に即したシンプルで強力なビジネスモデルの確立に役立ちます。ただしC2Mの導入はその特徴や成長性、そして実際の取り組みを通して、この手法が自社の事業に適しているかを判断しなければなりません。次項からはC2Mの特徴について解説していきます。

画像引用:WWD 小島健輔リポート『D2C神話から“個客”実利のC2Mへ』

C2Mの特徴

C2Mは、従来の流通チャネルを経由せず、メーカーと消費者を直接結び付けるというビジネスモデルです。 C2M は、メーカーと消費者を直接結びつけることで、両者の視点から生まれるそれぞれのギャップを埋めます。

例えば、メーカーの生産上の都合と、消費者のニーズは流通チャネルを通すことでとても多くの乖離を生み、それぞれに最適な生産が難しくなり、対立することがしばしばあります。ですがC2Mでは、消費者の需要を高品質の製品でしっかりと満たすと同時に、メーカーが消費者のニーズを深く分析するための情報を得ることが目的であり、従来のビジネスモデルよりもwin-winの関係を強くすることを目指しています。

インターネットの発達とそれらを媒介とするサービスやデバイスの発達・普及によってよりシンプルでスピーディな取引が可能になりました。C2Mはその恩恵によって発達したビジネスモデルです。

確実に高品質な製品が得られるのがC2Mの魅力

C2Mを選択する理由の一つに、高品質の製品が保証される点があげられます。 

C2Mを結びつけるプラットフォームは、仲介業者を除き、評判の良い信頼性の高いメーカーと直接提携することが可能です。そうすることで消費者は品質の高い商品を手に入れることができ、その安心がC2Mコマース全体への信頼性につながります。

ECプラットフォームは優良メーカーと提携することで価格に透明性を担保できる

C2Mを媒介するECプラットフォームは、製品の評価が高いメーカーと提携する必要があります。これらのプラットフォームは透明性のある価格設定をし、メーカーが標準化された価格を守ることを保証し、価格操作のような不公平な行為を防ぎます。 そうすることで、C2Mプラットフォームは消費者とメーカーの間に信頼を生みだし、公平な市場の展開を促進します。

ECプラットフォームのデータベースを活用

C2Mの成功を推進する重要な要素の 1 つは、電子商取引プラットフォームによる包括的なデータベースの利用です。 このデータベースには、消費者の好み、購入パターン、フィードバックに関する貴重な情報が保存されています。 このデータを活用することで、メーカーは消費者の進化する需要について分析することができ、消費者のニーズに正確に応える製品を開発できるようになります。

C2Mの未来

事業の成長とC2Mの可能性

C2Mは、ECの環境の変化によって促進され、成長性を秘めています。 消費者が個人のニーズにパーソナライズされた高品質な製品を求めるようになるにつれ、C2Mが提供するメーカーと消費者の直接的なつながりを非常に魅力的に感じるようになりました。 これにより、既存のEC利用者と新たな事業者の両方の側でC2Mの採用率が急増しました。

C2M企業の取り組み

C2M企業は、従来のビジネス モデルの再構築とデジタル時代の需要への適応に対して積極的に取り組んでいます。 制作コストと時間を最小限に抑え、データ分析を通じて顧客のニーズを特定し、Web広告を活用してブランドの知名度と消費者へのリーチを高めるよう努めています。 これらの取り組みによりC2M 部門の成長が推進され、EC業界における重要な力となっています。

従来のビジネスモデル再構築に向けたC2Mの取り組み

C2Mの台頭により従来のサプライチェーンが通用しなくなり、企業は既存のビジネスモデルの見直しを迫られています。 C2M は、メーカーが消費者と直接の関係を確立し、中間業者を経由せず、ターゲット ユーザーについて分析するための情報を提供します。 C2M を採用することで、企業は業務を合理化し、コストを削減し、顧客満足度を向上させることができます。

C2Mが注目される理由

メーカーにとって、C2Mを採用する利点はいくつかあります。 まず、メーカーは消費者をより深く理解できるようになり、製品開発とイノベーションにつながります。 第 2 に、メーカーが消費者から直接フィードバックを得ることができ、製品に必要な改善を行うことができます。 最後に、C2M はブランドへの忠誠心と信頼感を育みます。C2Mで顧客を獲得するということはすでに製品の品質を信頼されているという前向きな関係からスタートするからです。

消費者の観点から見ると、C2M は高品質の製品へのアクセスを保証し、不必要な値上げを排除し、消費者の声を聞くためのプラットフォームを提供します。 メーカーと直接関わることで、消費者は自分の好みを表現し、製品開発に影響を与えることができ、よりカスタマイズされた満足のいくショッピング体験を実現できます。

C2Mの成功条件

C2Mで成功するために、企業は業務のさまざまな側面でデジタル化を促進させる必要があります。 注文の受け取りから再流入に至るまで、事業のプロセス全体を合理化してデジタル化し、メーカーと消費者間のシームレスなコミュニケーションを実現しなければなりません。 さらに、競争力のある価格を維持し、消費者の需要に効率的に応えるためには、生産コストと時間を最小限に抑えることが重要です。 最後に、顧客のニーズと好みを正確に特定し、ターゲットを絞った Web 広告と組み合わせることで、C2M ビジネスが目立ち、適切な視聴者を引き付けることができます。C2Mは何より顧客とマッチングする機会を増やす事が重要です。

C2M手法が自社に適しているかどうかを判断する方法

C2Mモデルは計り知れない可能性を秘めていますが、すべての企業に適しているわけではありません。 適合性を判断するには、自社の特性を注意深く評価する必要があります。 製品の性質、対象者、既存のサプライチェーン、デジタル変革を受け入れる意欲などの要素を考慮しなければなりません。特に既存の事業を大きく展開している企業にとってはその導入コストは決して無視できない規模となるでしょう。

C2Mの導入の狙いは 消費者中心のアプローチを採用し、メーカーとの直接的なつながりを確立し、データ主導の分析をすることです。この三点に対して意欲的に取り組むことが可能であればC2Mで成功する可能性があるといえるでしょう。まずは現実的に自社の環境を振り返り、協力は得られそうか、資金と時間は確保できるか、業務の変化に対応できるか、など多くの課題を想定し、共有し、解決していきましょう。

中国大手EC企業の取り組み

C2M は中国のEC業界で提唱され、そこで大きな注目を集めました。 そして中国の大手EC企業は、C2M モデルの推進と導入の最前線に立ってきました。

「必要商城」は2013年に「消費者が必要とする商品だけ提供するECモール」として誕生しました。商品のサンプルだけを掲載し、製品は注文が入ってから作るという完全受注生産のみを取り扱うというビジネスモデルは大きな話題を呼び、注目を集めています。

中国のEC大手は、C2Mモデルの普及とその導入促進において極めて重要な役割を果たしてきました。 これらの企業は、テクノロジーへの投資、堅牢なプラットフォームの構築、戦略的パートナーシップの構築により、C2Mを繁栄させました。 彼らは、メーカーと消費者を直接結びつけることの計り知れない価値を認識しており、それが顧客満足度の向上、ブランドロイヤルティの強化、そしてビジネスの大幅な成長につながっています。

SPA、D2C、OEMとC2Mの違い

SPA (Single Product Architecture)、D2C (Direct-to-Consumer)、および OEM (Original Equipment Manufacturer) は、C2Mモデルと関連した用語です。

SPA とは、企業が単一製品の開発に集中し、優れた品質と正確なカスタマイズを保証する生産方法を指します。 このアプローチは、消費者のニーズに合わせた高品質の製品を提供することの重要性を強調しているため、C2Mの原則とよく一致しています。SPAは流通チャネルへのアプローチという点でもC2Mに似ている点があります。

D2Cとは、企業が仲介業者や小売業者を介さずに消費者に直接商品を販売するビジネスモデルを指します。 このアプローチにより、企業は顧客エクスペリエンス、ブランド メッセージング、価格設定を完全に制御できるようになります。 D2C ブランドは多くの場合、顧客との強力な関係を構築し、デジタル プラットフォームやマーケティング チャネルを活用して顧客に直接アプローチすることに重点を置いています。一方、C2Mはメーカーと消費者の直接のつながりを重視します。 これには、単に製品を直接販売するだけでなく、メーカーが積極的にフィードバックを求め、製品の共同開発に取り組み、消費者の好みに合わせて製品を調整することが含まれます。 C2M は、消費者が製品開発に発言できる協力関係を生み出し、メーカーが高度にパーソナライズされたターゲットを絞った製品を生産できるようにします。あくまで「消費者から製造業者へ」なのであり、始まりは消費者からであるというのがC2Mの視点です。

OEMは主にメーカーが別の会社のブランド名で製品を生産することを指します。 OEM は、メーカーと消費者の直接的な関係を重視する C2M の重視と直接的には一致しないかもしれませんが、メーカーが消費者の好みをより効果的に理解し、それに応えることができるようにすることで、C2M モデルに統合することができます。

C2Mの課題

C2Mには多くの利点がありますが、課題がないわけではありません。先述した通り、 大きな課題の 1 つは、メーカーが自社の業務と考え方を C2M環境に適応させる必要があることです。 これには、新しい戦略の開発、テクノロジーへの投資、データ主導の意思決定の採用が含まれます。 さらに、直接のやり取りは期待の高まりや潜在的な評判リスクにつながる可能性があるため、メーカーと消費者の間に信頼を確立することが不可欠だと言えるでしょう。

まとめ

C2M ビジネス モデルは、EC業界における新たなアプローチであり、メーカーと消費者の間の直接的なつながりを促進します。 高品質の製品へのアクセス、パーソナライズされた顧客体験、製品開発に対する消費者の影響力の増大など、数多くのメリットが得られます。 C2M の実装には課題がありますが、企業はデジタル化を受け入れ、顧客のニーズに焦点を当て、信頼を構築することで課題を克服できます。 C2M モデルを採用することで、企業は進化するEC環境において成長、革新、顧客満足度の向上を図ることができるでしょう。

 

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